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好気発酵による草堆肥作り まとめてみた

 私は畑やその周辺に生える草を材料に草堆肥を作って随分になります。
 最初はうまくいかずに腐敗させてしまったりしましたが、試行錯誤しながらたどり着いた現在の堆肥作りの方法では、ありがたいことに安定して好気発酵させることができています。
 というわけで、このnoteに記して私の忘備録とともに、興味のある方の参考になればと思って、今現在行っている堆肥づくりについて書いてみます。

 ちなみに、これまでの堆肥にまつわる私の記事はこちらのマガジンにおさめてあります。

 さて、日本で昔から行われている堆肥作りを一言で言うなら、

「分解されやすいものとされにくいものをバランスよく混ぜて、水分調整をしながら好気発酵させること」

となるかもしれません。
 分解されやすい(=発酵しやすい)ものとは、窒素分を多く含む炭素率の低い資材です。また、分解されにくいものとは窒素分が少なくて炭素率の高い資材です。今回の材料では米ぬかや油かすは比較的炭素率の低い資材で、成長した夏草や枯れ葉などは炭素率の高い資材となります。

C/N比とは炭素率のことで、20を境に分解されやすいものとそうでないものに分類されます。

 ちなみに、海外では草などの緑色のものと、落ち葉などの茶色のものを6:4の比率で混ぜるとよいとされていますが、私はあまり気にしていません。

今回の炭素率の高そうな主材料は、畑周辺で大きくなった様々な夏草と
庭掃除で集めた泰山木の落ち葉。こちらは大きくて硬い葉ですが、以外に分解は早いです。

私の草堆肥作りの作業行程

  1. 長い雑草の繊維をできるだけ短く切って、分解されやすくする。

  2. 水をかけて水分量を60%前後に調整し、米ぬか(油かす少々)をまぶす。

  3. 好気性菌が活躍できるように堆肥枠にふんわりと積む。

  4. 古毛布やビニルシートなどで覆って保温と保湿をし、雨水の流入と直射日光(紫外線)による菌の死滅を防ぐ。(できれば屋根のあるところで作業をする方が望ましい)

  5. 温度計で毎日内部温度を計って、温度が下がったら加水して切り返す。

  6. 5の作業を何度か繰り返し、温度が上がらなくなったら静かに寝かせる。

  7. 色が黒くなったら出来上がり。

 私はこれ以外のことは全て好気発酵のじゃまになると考えていますので、一切手を入れず何も行いません。

 ただ、この方法で堆肥を積んでいると、どうしても底の部分や堆肥枠に密着している部分の発酵が遅れて発酵むらができるのです。これはそういった部分にある材料が空気に触れていために好気発酵が進まないことが原因です。ですから何度か切り返して、空気に触れさせて発酵を促す必要があるのです。

 さて、そこで私が考え付いたのが通気性の良い暗渠パイプとメッシュの育苗かごを使って通気性を確保することでした。

こうすると底も側面も内部も格段に通気性がUPして、発酵スピードも速くなります。

 以下、実際の作業を写真で順にお見せします。

あらかじめ堆肥枠の中にメッシュの育苗かごを敷き詰めておいて、
刻んだ草や落ち葉に水をかけて湿らせ、米ぬかをまぶします。
材料を積みながら、暗渠パイプを差し込んでいきます。

 蛇足ですが、堆肥は読んで字のごとく『堆く(うずたかく)積んで作る堆肥』ですので、できるだけたくさん積むことが成功の秘訣です。少量の材料で作るのはかなり難しくて、ベランダなどでされているダンボールコンポストなどで失敗例が多いのは量が少ないことが原因である場合が多いのです。

てっぺんから突き出した暗渠パイプはまるで煙突。内部の熱い空気を排出し続けています。

 さて、堆肥はうまく好気発酵が進むと、積んで2日程で内部温度が6~70℃に上昇し、数日で下がります。温度が下がるのは発酵熱で高温になって水分が蒸発したために微生物の活動が弱まるからです。

積んだ翌日の内部温度です。よく上がっていますね。ここまで上がれば草の種も不活性化します。
積んで2日目。まずは表面で糸状菌が糖を分解して急成長します。
温度が上がると内部では高温性好気性の放線菌が活発に活動してさらに分解を進めます。

 温度が下がってきたら堆肥に水を加えながら切り返します。そうするとまた微生物の活動が活性化して内部温度が上がって、また下がります。
 以下、この作業を何回か繰り返して温度があまり上がらなくなって落ち着いて来たら作業をやめて、静かに養生させて熟成を待ちます。

ヤンマーHP 土づくりのススメ - 深掘!土づくり考 より転載。
切り返し作業の様子です。発酵熱でカラカラになった堆肥にホースで思い切って加水します。
切り返して加水した堆肥。ここからまた再発酵が始まって徐々に完熟へと向かいます。
何度か切り返して分解の最終段階。内部温度が下がると養生中にキノコが生える。www

 実はこのあらかじめ堆肥枠の中にメッシュの育苗かごを敷き詰めて暗渠パイプを差し込む方法だと、切り返しの回数をうんと減らす事が可能です。
 ちなみに最近の私は、せいぜい2回ほどしか切り返し作業を行っていません。何しろ隅々まで一気に好気発酵が進みますし、発酵むらがほとんどありませんので、何度も切り返す必要がないのです。これはありがたいです。w

 ところで、「完熟堆肥以外は畑へ入れちゃダメ!」という話はよく聞きますよね。しかし、実際はそうではありません。ちなみに私はまだ完熟していなくても、堆肥がボカシの状態になったら積極的に畑に投入しています。

ヤンマーHP 土づくりのススメ - 深掘!土づくり考 より転載。
ボカシ状態の堆肥。まだ完熟していないけど温度が下がっているなら畑へ入れても大丈夫。

 ただし、生ものを畑に入れることは危険です。生だったりあまりにも未熟な状態の有機物(上の図の赤い矢印のゾーン)は、通気性の悪い土中では分解が進まず、油脂やクロロフィルなどの化学物質が作物の育成に悪い影響を与える可能性もあります。いろんな意味で畑へ投入してはいけないのです。
 ことことは昨年私が実験した結果からも明らかで、野菜残渣も畑に直接埋めないほうがよいと思っているくらいです。

 ボカシの状態を過ぎたばかりの堆肥はまだ完熟はしていませんから、土中での分解に時間がかかります。しかし、すぐに分解されて消えてしまう完熟堆肥よりも排水性や保水性、捕肥力を長く保てるメリットがあるのではないかと私は感じています。(^^)


 堆肥枠を使わないでもっと簡単に堆肥を作りたい方は、ぜひこちらの記事をどうぞ。



 うーん。UPしてから思ったんだけど、
 この記事って誰かに需要があるんだろうか。(^^;)
 ま、いつか堆肥を作りたい人が、
 ネットの片隅でこの記事をたまたま見つけて、
 参考にしてくださって役に立てるならうれしいな。

 もし、質問やこうすればもっといいというアイディアがありましたら、
 ぜひ、コメント欄にお願いします。


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