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【イベントレポ】変コンもたくさんあった!「東京ゲームダンジョン5」で出会ったアイディアが光るゲームたち

2024年5月4日、いつもの都立産業貿易センター浜松町館で東京ゲームダンジョン5が開催されました。

イベントはすっかりインディゲームイベントの大手として定着している感がありますが、今回は1日のみ開催で2フロアを利用したスタイルとなります。前回は2日間で一部サークルが入れ替わる方式でしたが、どういった形が良いかを主催者側でも模索しつつ行っているのかもしれません。2日開催になると来場者も分散してしまうし、2日とも参加可能な人も限られてしまうため1日開催でより多くの出展が可能になるのは良い判断だったと思います。

インディ系のイベントに頻繁に行っていると新鮮なタイトルに出会うことが減ってくるものですが、まだまだ新しいタイトルはあるもので未知との遭遇ができました。


叫んで走れ!君の声が風になるレースゲーム『マイクカート(仮称)』

リアルイベントでは特殊コントローラーを採用したゲームは目立つもので、その中でも『マイクカート(仮称)』は異彩を放っておりました。というのも、よくあるハンドルタイプのコントローラーに加えて、ストリーマーが使うようなコンデンサマイクが設置されているのです。もちろん、マイクは飾りではございません。

では、どうやってマイクをゲームに使うのか?それは当然叫んでもらうためさ!『マイクカート(仮称)』はそのタイトル通りのレースゲームですが、アクセルやブレーキに該当するボタンは存在しません。操作は簡単、「ブ~ン」と声に出せばアクセル、「ピーッ、ピーッ!」でバック、「シーッ!」でドリフトといった具合にハンドル操作以外は全て声でできてしまうのです。

そんな操作系ですからプレイ中は叫びっぱなしで疲れること必死。波形の大きさがスピードにも反映される仕様のため声の大きさも重要になりますが、大声を出していれば途中で息切れしてくるプレイヤーのフィジカル問題もあります。まだまだ開発途中のようですが、リリースされたら間違いなくストリーマーの方が喜んでくれるでしょうね。

フィジカルが鍛えられそうな「壺おじ」VR『CROWBAR CLIMBER』

フィジカルを酷使するタイトルつながりで紹介する『CROWBAR CLIMBER』はバールを引っ掛けて登り続けるVRゲームです。

長い棒を引っ掛けて登るゲームと言えば「壺おじ」こと『Getting Over It』ですが、登っているキャラクターのビジュアルが壺っぽいものに下半身を押し込めているオマージュっぷり。とはいえ、VR空間で実際にフィジカルを使いながら登る体験は「壺おじ」とはまた異なるものです。

プレイヤーの視点はこんな感じ

2本のバールを引っ掛けて登るわけですが、腕を伸ばすとギリギリ引っかかる距離感にしてあったり、角度のある壁を上を見上げながら登らないといけなかったりするなど、絶妙なステージデザインとなっています。様々な角度で登れそうなポイントを検討するボルダリング的な遊びでもあり、少し頭を使いながら工夫して自分なりの登り方を検討するゲーム的な楽しさが確保されている点も優秀です。

VRのゲームで気になるのが高所恐怖症の人にはキツいものになることだったり、視点移動で酔ってしまう問題があることですが、この点はゆっくりと上を目指すゲームデザインだったり、下を意識させないようなレベルデザインで問題となりにくい印象です。このあたりはVRゲームの開発者・ライターとして活動している渋谷宣亮氏が手掛けているからこその配慮だと思います。

こんな言葉でも大丈夫なのか?面白ワードから最良のラブレター作り出せ!『ラブレター』

フィジカルを酷使した後は変わり種にも触れたくなるものです。『ラブレター』というタイトル通りにラブレターを作ってクラスメイトに告白するゲーム、と聞くとノベルゲームを想起しますが、本作はアクションゲームでございます。しかもプレイヤーキャラクターは人間ではなく、ラブレター自身!

ラブレター君はジャンプができます。ピョンピョン跳ね回って教室に設置されたボールやバッグなどのオブジェクトから愛の言葉を収集し、ラブレターを完成させることが目的となります。言葉集めの過程をアクション化しているといえばわかりやすいですが、問題は集める対象となるワードがなかなかにキモい、、、「君の名前を書いた消しゴム、これで26個目だ」「チョークの粉になって君に吹き消してもらいたい」(←うろ覚え)といったどういうセンス?と言いたくなるヤバさあふれるワードの数々にドン引きしつつ、最良のラブレター作りを目指して跳ね回るのです。

告白相手キャラクターに合わせて言葉を選び取っていく必要がありますが、どこが彼女らの琴線に触れるのかを模索していく遊びは新しさがありました。

複雑なようで遊びやすい3Dな横シュー『Louloudi Asteri ~Save the Solar System~』

シューティングゲームはインディ界隈でも伝統的に多く存在するジャンルです。多く存在するからこそ工夫が活きるジャンルでもあります。『Louloudi Asteri ~Save the Solar System~』はそんなシューティングゲームの中でも工夫が効いたタイトルでした。

『R-TYPE』に代表される横シューはグラフィック面で3Dが用いられているものは多くなっていますが、ゲームデザインは平面的なものです。そこに奥行きの概念を追加したのが本作の特徴です。

奥へと移動することで敵の弾を回避、自機を回転させることでさらなる変化もつけられるため、横シューに慣れている人ほど新しく感じるのではないでしょうか。昔のシューティングゲームはゲームセンターのアーケード筐体での操作が基本ですが、今のPCベースのゲームならばアナログスティックが2本ついたパッドでの遊びが前提となるわけで、だからこそ奥行きを操作する発想も生まれたのだと思います。

3D化することで懸念されるのは、状況の判断が難しすぎて弾が当てられない問題だと思います。ゲームの上手い人ならば突破できる課題かもしれませんが、普通にやったらかなり厳しいことが想定されるため、ある程度のエイムの補完を行ってくれるような仕様にすることでこの問題を解決しています。シビアなエイムを要求されないため、比較的2Dシューティングと変わらない感覚でプレイできると思います。

また、エフェクト周りが美しかったのも印象的で、強化アイテムを取得して撃てる弾はビーム的なものもあれば流星群のようなきらびやかなものもありました。

即興力が試されるパズル風味のポーカーゲーム『ビーストギャングポーカー』

最後に紹介するのはアイディアが秀逸なポーカー×パズル。

5×5のマスを使ってポーカーの役を作っていくゲームです。トランプのカード54枚がランダムに1枚ずつ配られるので、それらを自由に配置してより高得点の役を作ることが目標となりますが、役の判定は上下左右斜め方向に有効であること、複数の役を一度に成立させるとより高得点になるために様々なアプローチが可能となります。

トランプがランダムに配られるために毎回アドリブで状況判断して行く必要もありますし、決められた54枚の山札と一度に25枚以上配置できないマス目(任意のタイミングで役の成立しているカードを消す操作が可能です)といった有限の要素がさらにゲームを複雑にしています。

動物をモチーフにしたカードのデザインも美しく、わかりやすいUIも良い点です。2024年夏リリースを目標にしているそうですが、会場ではハイスコア合戦となるなど、かなりの完成度となっている印象です。私もリリースを楽しみにしたいと思います。

今回は全体的にアイディアが光っているタイトルを紹介しましたが、ウェルメイドな作品もとても多く、学生による出展が多かったことも印象に残っています。一部のサークルはゲームリリース前にもかかわらず多くのファンを獲得しているなど、インディドリームも感じられた一日でした。


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