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初開催の会場でフレッシュな参加者も多かった「横浜ゲームダンジョン」レポート

今回は2023年8月27日に新横浜で初開催となった横浜ゲームダンジョンのレポートをお届けする。
2023年7月30日に浜松町で開催された東京ゲームダンジョン3に引き続き開催されているが、1ヶ月程度の間隔での開催となったこともあってか、東京ゲームダンジョンとはタイトルが多く見受けられる印象だった。

そもそも会場が学校法人岩崎学園横浜デジタルアーツ専門学校であり、学校とのコラボレーションの側面もあるようで、学生と思しき出展者も多い。学生ではなくとも、初出展の人も多く、海外からの出展者も見かけた。

横浜ゲームダンジョンの出展作品を見ていると、開発初期段階の状態で出展されているものも多く、そうしたタイトルは正直に言ってしまえば完成度は低いと言わざるを得ないのだが、インディゲームのイベントがプロモーションの場とは限らないことを考えればこれも正しいあり方だと思う。こうしたイベントには商業的な意味以上に、クリエイターのモチベーション維持やプレイヤーからのフィードバックを得る機会としての価値がある。

東京ゲームダンジョンのWebサイトにも作品審査がないことや、出展料金が安いことなど出展者へのアピールが多いことからも本イベントがクリエイターに優しいイベントを目指していることが伝わってくる。以下でピックアップする作品のどれもが開発初期段階で完成形がまだまだ見えない状態ではあったが、クリエイティブなエネルギーを感じるものだった。

HMDの機能を活かした仕掛けに驚くVR実写心霊ホラー『Project_Y:Working Title』

VRで実写ベースのゲームということで気になって試遊してみたが、心霊現象に関する調査をする男性を主人公とした映像作品のようだ。バーで話を聞いている間に時々起きるちょっとしたポルターガイスト現象にも驚くが、VRで見渡せる空間になっていると背後になにか居るのではないか?どこかに何かが映っているのでは?という疑念が湧いてきて妙に怖い。ビデオテープ風のノイズが入るあたりでバラエティ番組風ホラー「このテープもってないですか?」を思い出す感覚もあり、必要以上に緊張してしまった気がする。

本作の一番の驚きはラストに映る光景。VRのヘッドマウントディスプレイにはカメラが設定されている場合があるが(試遊ではQuest2を利用していた)、本作ではカメラで捉えられた映像が映る。ゲーム内の映像を眺めていたはずのところに唐突に来るこのゲームと現実との境界が崩れる瞬間にはとても驚いた。どういう作品になるかは不明な部分が多いのだが、完成品が気になるタイトルである。

名作文学を読んで図書館で語り合う『Tell Me Your Thoughts!』

学校の図書室で文学作品を読んで女の子と交流するアドベンチャーゲーム。面白いのはゲーム内で読むのが実在の文学作品で、著作権フリーとなった作品が読めるサービス「青空文庫」から引用したテキストをそのまま全文読ませている点だ。ゲーム内でテキストを読む機会は多いが、実在の作品をそのまま読む機会は新鮮だ。

ゲームの流れは読書をした上で、その作品に関連するクイズに回答しつつ交流を進めていくようだが、選択肢に応じて会話を変化させていく要素も検討しているとのこと。

解体した怪獣を売って儲ける経営シミュレーション『怪獣分解カンパニー』

怪獣を解体、と聞くとドラゴンを狩って解体した肉を売る人々を描いた漫画「空挺ドラゴンズ」を思い出すのだが、本作は怪獣の仕入れから売買までを経営シミュレーションとしてゲーム化したものだ。

怪獣は放っておいても手に入らないので、オークションで落札することから始まる。オークションで落札したら解体工場に輸送してもらうが、時間がかかるのでその間に作業員を面接して雇用、雇用するのも当然お金はかかるが交渉次第で人件費も変動する。

怪獣が届いたら解体作業を開始する。足場を組んで解体作業を進めていくのを見るのはミニチュアを眺めている感覚があって楽しい。解体が終われば手に入れた血や骨を売るのだが、株価のように価格が変動する点も面白い。試遊ではまだ実装されていなかったが、ロボットを利用して怪獣を倒して直接怪獣を手に入れる要素も開発しているようだ。このように要素が多くて複雑なゲームなのだが、その分濃密な経営シミュレーションとして楽しめそうだ。

ハイパーなナイフで記憶を操作しちゃおう!『BrainHacker』

今回の横浜ゲームダンジョンで試遊した中では最も好きなタイトル。

たまたま手に入れた記憶をハイパーなナイフで後頭部をセイヤっとヒットするとアラ不思議、記憶が消せちゃいます。3Dのポリゴン感強めのキャラクターで描かれるのでかなりコミカルな絵面にはなっているが、ターゲットの頭脳をスキャンして電脳空間のようなステージでナイフを後頭部に投げるのは相当アグレッシブ。

面白いのは、ステルスゲームの要素もある点で、試遊ではハイパーナイフを起動する単3.1電池(どんな電池だ?)の製法を調べるために工場に潜入するが、このパートは完全にステルスゲームとなっている。見つかって警報鳴らされたとしても捕まらなければOKというメタルギアソリッド的なルールなのも良い。

気楽に自由にクリエイティブに!

今回のイベントは全体的に自由で気楽な雰囲気があったのが印象的だ。学校の建物を利用しているので、食堂や体育館のスペースで展示されていたり、休憩スペースも用意されていることでアットホームな感覚があったことも会場の雰囲気に貢献している気がする。気楽に自由に出展する気風のある横浜ゲームダンジョンはクリエイティブな作品が生まれる土壌として豊かなものだと思った。

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