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戦士志願 L・M・ビジョルド
2017年ヒューゴー賞ベストシリーズ受賞の「ヴォルコシガン・サガ」シリーズの一冊。
貴族階級のマイルズは、身体的ハンデが原因で、士官学校受験に落ちてしまう。
失意の中、幼馴染のエレーナ、ボサリ軍曹とともに祖母に会うために、ベータ星へ向かう。
ベータ星に着いたマイルズ達は、ひょんなことからジャンプ船を手に入れ、宇宙に旅立つ。
しかし、向かった先は戦争真っ只中。
マイルズ達は、切り抜けていくことができるのか?
・冒険ものを楽しみたい方
・痛快な英雄譚を楽しみたい方
そんな人におススメの、一押しの一冊。
1、ストーリー展開のワクワク感
序盤から、こんなに面白くていいの?と思わせる、テンポの良さ。
ジャンプ船を手に入れ、
『デンダリィ傭兵隊』とか、『エレーナ中佐』と、口から出まかせで言い、
「積み荷」を運ぶ仕事を請け負ってしまう。
だが、マイルズ達が旅立つ先は、戦争真っ只中の宙域。
大丈夫か?マイルズ!
幾度もの危機も、マイルズの機転の良さで乗り越え、
傭兵隊は、どんどん成長し、
士官学校に落ちたくせに、気が付けば、マイルズは『提督』と呼ばれる。
マイルズの、敵をジワリジワリと、味方に付かせる手腕は、本当に痛快。
ハラハラしながら、時に、クスリと笑ってしまう物語を堪能してほしい。
2、マイルズの魅力
そもそも、あらゆることに首を突っ込み過ぎて、しかも、うじうじとひきこもる、性格的な欠点があるヒーロー像。
それでも、毒ガスの影響による身体的ハンデをはねのけるほどの、機知に富み、冴えわたる頭脳を持つ。
他を圧倒的するほどの大局観で、自分を有利に運ぶのが恐ろしく巧いありさまには、思わず膝を叩いてしまう。
そして、情に厚い、人間的な一面も、心に染みる魅力。
3、ビジョルドの大局観
まず、登場人物だれもが生き生きと、魅力的なのが特徴。
私自身も、抱える悩みに直面した時、
「マイルズなら、どう切り抜けるだろう。」
「コーデリアなら、どう応えるだろう」
と、つい、照らし合わせて考えてしまうほど。
一方、ビジョルドの書くSFの良さは、登場人物や、ストーリーの良さだけでない。
物語は、身体的ハンデ、女性、階級制度、政治的な考えの違い、多様な視点から語られる。
ビジョルドは言う。
悪役は必要ない。あいいれない二つの善の間の抗争があるだけ
と。
読者は、繊細な、あいいれない二つの善のジレンマに心が揺さぶられるであろう。
みなさんにも、是非、この本を手に取ってもらいたい。
*追記*
カタカナの名前を頭の中で整理するのに苦労しました(笑)
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