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8月12日 育児の日
僕もやりたいと言うので、哺乳瓶を渡してミルクを飲ませてあげるよう教えた。
長男3歳、妹が出来ました。
「可愛いね、僕の妹」
『僕の』と言うあたりがあなたも十分可愛い。私は笑って返す。
「ママの子供は2人とも可愛いでしょう」
すると不思議そうな顔で尋ねられた。
「ママの子供なの?じゃあパパは?」
「もちろんパパの子供でもあるよ!今、ここにママしかいないからママのって言っただけで、君たち2人はママとパパの可愛い子供だよ」
慌てて何かを釈明するように伝え、思わず抱きしめた。
「今日はパパ、帰ってくるかな」
「うーん、今日も遅くなるかなぁ」
私が言うと、そっかと少し小さくなった声で答えた。
夫は激務である。終電での帰宅はよくある事だし、朝も早くに家を出る。たまにゆっくりと出社する日もあるが、それでも息子を見送ることは出来ないでいる。
でも、夫が家族を大切にしてくれていることは充分知っている。土日は遊んでくれているし、平日もどんなに帰りが遅くても必ず帰ってきては子供たちの頭を撫でている。そうして、耳元で言うのだ。
『大好きな航平、希実、今日もありがとう、おやすみ』
あぁ、この人は子供たちがいるから毎日を頑張っているのだと分かる。そしてどれだけ2人を大事に思っているのかも。何だか羨ましくなって、ある日の夜に私にも言ってよと彼に言うと、妙に照れた顔で頬にキスをしてくれた。
そこそこ伝わったので良しとする。
でもそんな彼の愛情はどこまで彼らに伝わっているのだろうかと、時々不安に思うのだった。
「ママ、僕にもお世話教えてよ」
ミルクに続き、オムツ替えをしたいと長男は言った。まぁ良いかと思い、私の前に座らせてそのまた前に妹を寝転ばせた。
「安心させてあげてね。よしよしっていい子いい子したり」
本当はそんなことしなくても良いのだろうけれど、何となく長男の時から癖になっている。オムツをかえるために私の手を離れ、床に寝転ぶ。それを不安に思って泣きはしないかと最初の頃にハラハラしたのだった。
「希実ちゃん、いい子だね」
まるで自分がそうされているように、優しく穏やかな顔で長男が妹の頭を撫でている。私まで安心してくるので驚きだ。
でも、そのすぐあとにもっと驚いた。
「大好きな希実ちゃん、今日もありがとう、おやすみ」
そのセリフを長男が言ったのである。
「え」
私は思わず彼の顔を見る。彼はニヤリと笑っていた。
「パパがいつも言ってくれるおまじない。僕、聞こえているし、覚えているんだよ」
そう言って妹を優しく撫でるその顔は、確かに夫に似ているのだった。
「僕も、パパみたいに子供を大事にできるパパになりたいから」
夫よ、あなたの思いは充分に伝わっている。仕事が忙しく会える時間が短くてもその僅かな時間が濃ければ、それは何十時間、何百時間にも匹敵するのかもしれない。
色々手を出し口を出すだけが育児では無いのだと、将来パパになる息子を想像しては私も微笑んだ。
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【今日の記念日】
8月12日 育児の日
社会全体で子育てについて考え、地域が一体になって子育てしやすい環境づくりに取り組むきっかけの日にと、兵庫県神戸市の株式会社神戸新聞社が制定。日付は「育(いく=1)児(じ=2)」と読む語呂合わせから毎月12日とした。株式会社神戸新聞社は第9号「記念日文化功労賞」を受賞。
記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。
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