出逢うことが出来なかった叔父さんの話

私の母には兄がいるはずだった。

しかし産まれて間もなく原因不明で亡くなってしまった。直接的にはお婆ちゃん(母の母)に聞いていないが、いつも仏壇にお線香をあげる時に小さい位牌があったのを覚えている。〇〇童子の戒名を授かっていた。

1年前、おじいちゃんが亡くなった。

みんなで写真を整理していると、母がポツリと叔母や伯父に話し始めた。
「そういえば……じいちゃん、ずっと〇行(名前)のこと好きだったよねぇ」(〇行は上記の亡くなった叔父)

「行」の漢字が大好きだったおじいちゃん。
実は叔父さんにも伯父さんにも付けている。

この話をお寺の住職様にお話すると、
「行という漢字には『進む』という意味もありますが、『道のり』という意味もあります。〇行(叔父さん)さんと長い道のりでまたお会いできますよう、戒名にこちらの漢字をお入れするのはいかがでしょうか?」

と御提案を頂き、おじいちゃんの子供一同はストンと納得し、お願いします、と返事をした。

葬儀が終わり、みんなで話し始めた。
叔母「〇行(叔父さん)はさ、おじいちゃんちにまだ住んでるのよね~」
伯父「あ~いるよね」

説明すると、叔母と伯父は霊感が強く「いる」というのがわかる体質。ちなみに母はない。

その時、母が「あっ!」と言った。

母は何年も前に「霊感が強い人に見てもらいにいく友達」について行ったことがあった。
その人は子供に奇行が見られたので相談をしに行ったが、母は特に無かった為見てもらう予定はなかったという。がしかし、見える人が母に向かってこう話した。

「ねぇ、背が高くてよくタバコをすう貴方より年上の男性、知らない?」

母「うーん、私の周りはみんなタバコを吸うけど、友達の年上の男性はあまりいないし、旦那もタバコを吸うけれど同い年だし背は高くないし……」
見える人がまた話す。
「凄く身近なの!ねぇ、知り合いじゃないの?ずーっと一緒みたいよ?」
母は思い出してみたがタバコをすう年上の男性は知らなかった。

この話が「もしかして、この話の男性は〇行(叔父)だったんじゃ……と、みんなに話した。

すると叔母が
「そうそう!〇行ね、背がじいちゃんに似て凄く高くてね」
伯父さんもおじいちゃんに似て凄く背が高いから完全に遺伝だ。

「前に私が泣いてたら、心配したのか来てくれた時があってね。微かにタバコの匂いがしたから吸ってたのかな?」
叔母伯父、喫煙者で母は元喫煙。
タバコもみんな好きな家系。

母の身近にいてくれたのは〇行(叔父)だったに違いない。

伯父が話した
「叔父さんさ~、たまに階段から降りてくる(伯父はおじいちゃん家に住んでる)から、多分普通に住んでるんだろうね」

あの家で叔父は子供一同と一緒に暮らして、一緒に歳をとってきたのだ。
お盆になると兄弟、従兄弟、孫一同が集まり、みんなでご飯を食べてた時も、きっとそこにいたんだろうなぁ。

叔父さんも普通に成長して、普通に歳をとっていたんだ。

色んなことがリンクした不思議な出来事。

ちなみに、叔父さんの亡くなった時代は赤ちゃんを火葬する文化?がなくて火葬が出来なかったので、庭にさみしくないようにメリーと一緒に埋葬した。
何年か経ち、やっぱりお墓に入れましょうと言うことになり掘り起こしたそうだが、骨はどこにもなくメリーだけが見つかり、メリーの周りの土を骨壷に入れ、お墓に入っているんだそう。

おじいちゃん家には何年か住んでいた時があった。
きっと、私のことも見てくれていたんだろうなぁ。

余談

おじいちゃんがなくなって49日まではお線香の匂いが天井から香っていたが、過ぎてからパタリとしなくなったらしい。叔母も伯父も同じことをウンウン、と頷きながら話していたが、母は全く分からずにいたという。

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