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映画『パヴァロッティ ~ 太陽のテノール』を観た感想・調べて発見した事実・日本公開だけの副題はぴったり❣️

映画『パヴァロッティ 太陽のテノール』を見た

素晴らしい71年の生涯だったと思う

元々、純朴素朴な明るい人だった

天賦の才能を花咲かせ、歌で多くの人に感動を与えて来たが、敏腕のマネージャーや世界的な興行主と出会い、広い世界に出て稼ぎ、50代後半からチャリティでも人に与え続けた

音楽ビジネスを成功させた3人との出会い

特にこの3人との出会いが興味深かった

(1) Herbert Breslin (1924-2012)
https://en.wikipedia.org/wiki/Herbert_Breslin
1967-2003年まで勤めたやり手のオペラ歌手専門米国人マネージャー

彼と出会ったから、普通のオペラ歌手よりコンサートを多くするようになり、地方にもオペラを浸透させた。

以下を読んで捕捉
https://twitter.com/AnneBlueberry/status/1310224760828170240

パヴァロッティを歌劇場の外に連れ出し大衆に名前を浸透させた人。アメックスのCMやアリーナでのコンサートやバラエティやトークショーの出演を実現。

(2) Harvey Goldsmith (b.1946)
https://en.wikipedia.org/wiki/Harvey_Goldsmith
英国人のロック&"チャリティ”コンサートの大プロモーター

彼と出会ったから、毎年、彼の故郷モデナで「パヴァロッティ&フレンズ」チャリティ・コンサートが可能になり、紛争地域に住む人々を大きくサポートできた
https://en.wikipedia.org/wiki/Pavarotti_%26_Friends#Pavarotti_&_Friends_(1992)

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Wiki https://en.wikipedia.org/wiki/Pavarotti_%26_Friends#Pavarotti_&_Friends_(1992) を見るとわかるが、毎年実に錚々たるポピュラー歌手が出演

クラシック界は、声楽家がPopsの歌手と共演したり、ポピュラー音楽を歌うことを邪道と見なす傾向あり

声楽家で彼ほど垣根を超えて、大規模にアーティストをチャリティに集結させた人はいないと思う!!

「パヴァロッティ&フレンズ」チャリティ・コンサートの動画が多くあがっていてどれも驚くのだが、特にマイケル・ボルトン他皆で、Nessun dormaを歌っている動画!
https://www.youtube.com/watch?v=4MT_3GN6KuM

すご〜く感動した😭

(3) Tibor Rudas (1920-2014)
https://en.wikipedia.org/wiki/Tibor_Rudas
ハンガリー人の世界的Impresario/興行者

業界のドンのような人。彼と出会ったから、大規模な「3大テノール」コンサートが世界で展開でき、クラッシックのファン層を広げられた

ドミンゴ: 舞台に立ったら競争心が!
https://www.youtube.com/watch?v=ERD4CbBDNI0

パヴァロッティが愛した3人の女性

彼が愛した3人の女性が登場するが、共通するのは皆、聡明で彼のサポートに手腕を発揮していること

元妻
Aduo Veroni
デビュー時ファンレターの返事を全部代筆
レコード会社も経営

アシスタント・コンサートの共演者
Madelyn Renee Monti、ソプラノ


Nicoletta Mantovani
"優れた実業家"

🍃🌹🍃

パヴァロッティは、ジュリーアードでマスタークラスを教えた時に歌ったMadelyn Renee Montiと運命の出会いをした。彼女をアシスタントにして歌を教えた。映画の中で、彼女は言う。友人であり、生徒であり、秘書であり、共演者であり、そして...恋人だった。そんな関係になるとは全く思っていなかった。コンサートの時、舞台裏で水の用意をしていた彼女をパヴァロッティが舞台上に引っ張ってデュエットしたのが、このラ・ボエームからの曲

この歌詞にグッときたな

https://www.youtube.com/watch?v=tvBrsd0CjAg&list=PLDisKgcnAC4QJJKTDwqJR_5Tg174fWPAz&index=9

そして、以下の曲が、パヴァロッティの1980年代後半、Madelyn Reneeと別れて無力感に襲われていた時期に流れていた。

1904年カルーソーによってミリオンセラーとなった

『衣装をつけろ』(伊:Vesti la giubba)
オペラ・レオンカヴァッロ『道化師』より日本語訳
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%A3%E8%A3%85%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%91%E3%82%8D

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https://www.youtube.com/watch?v=Z0PMq4XGtZ4

Madelyn Renee Montiは、今でも活躍するオペラ歌手。
最期は娘の一人が知らせて会うことができた。

🍃🌹🍃

ニコレッタ・マントヴァーニ夫人について
https://emilia.exblog.jp/1967274/

故郷モデナでは、「パヴァロッティ &フレンズ」コンサートが2003年に終了したが、その後、"実業家として非常に優れた企画力&広い人脈のある" 彼女によって、夏の2ヶ月間音楽&アート村が開かれることに

そしてこれがマントヴァーニさんによるこの映画を紹介するページとトーク動画
https://www.classicfm.com/discover-music/pavarotti-nicoletta-mantovani-interview/

声をセーブするため日常では歌わなかったこと
絵描きだったこと

もう一つ、マントヴァーニさんは5日ほど前に再婚したばかり🎉
https://www.classicfm.com/artists/luciano-pavarotti/widow-nicoletta-mantovani-marries-bologna-wedding/

ロン・ハワード監督

ロン・ハワード監督がどんな動機でこの映画を作ったかを語っている動画
http://www.pbs.org/wnet/amanpour-and-company/video/ron-howard-on-his-new-film-pavarotti/

オペラの歌詞を知った時に、オペラは一部のブルジョワの音楽だけではなく、一般市民のものだと感じた

オペラの演目の歌詞を知って、ドキュメンタリーにオペラを効果的に入れてみようと思った etc

もう一つ、字幕付きの監督へインタビューした動画も

ボノの言葉

感銘したのはU2のボノの言葉。
監督もまさにこのドキュメンタリーの真髄を伝えていると

動画があった
https://www.youtube.com/watch?v=T4DtHU_lKu4

後年になってパヴァロッティの声が衰えてきたとの観客の声が流れた後、ボノがそれは遺憾だと語り、
"彼が毎回心が引き裂かれるような思いで歌っていることを
皆わかってない
皆に与えられるものはただ一つ
彼の全人生だ
過ちも欲望も希望も
全てを歌にぶつけている”

日本語予告の最後を見てほしい
https://www.youtube.com/watch?v=0GzKck09l5g

パヴァロッティ の最後

このボノの場面後

「トスカ」のこの↑https://www.youtube.com/watch?v=FNdDNdbgVeE&list=PLDisKgcnAC4QJJKTDwqJR_5Tg174fWPAz&index=10  歌をパヴァロッティが歌っているシーンが展開

ドミンゴが指揮している

ドミンゴ:この役カヴァラドッシは、自分が死ぬことを知っているんです

次にパヴァロッティの死期の場面に変わる

Anne Midgetteについて

皆がこの映画であまり気づいてないだろう事実を。

パヴァロッティは2007年に他界したのだが、2004年に、最初の2003年まで勤めたマネージャーHerbert Breslin (1924-2012)が、「王様と私」という辛口のパヴァロッティの本を出版。曝露本と表現されることもあるが、この本を、https://www.1101.com/hondana/2007-08-10.html#osama  で小堺一機さんが紹介していて

"マネージャーとタレントの理想的な関係を考える上で
教わることがいっぱいあった一冊" と書いてあり

アマゾンのレビューでも

"オペラというビジネスがどのようにして現代において発展したかが、実にリアルに分かる" と書いてあって興味が湧く。そしてこの「王様と私」に共著者がいることに気づく。クラシック音楽の評論家Anne Midgetteだ。

アマゾン著者紹介を見て、この顔どこかで?と思ったら、この映画のナレーター的存在の一人だった。

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もう一人のナレーター的存在は2003年からのマネジャーTerri Robson。そういえば、彼女がどのような背景で引き継いだか、知りたかった。

映画でこの二人はパヴァロッティのことに精通していて、客観的な事実を述べているように感じた。

パヴァロッティの資料

このマネージャーがパヴァロッティが他界した時にAP通信に共有した長い記事:
https://www.wave3.com/story/7033852/italian-tenor-pavarotti-has-died-at-age-71-his-manager-tells-the-ap/

そして同じく英語だが、本映画についての米国NPRの長いレビュー:
https://www.npr.org/sections/deceptivecadence/2019/06/07/730363989/pavarotti-documentary-misses-all-the-right-notes

この日本語のポジティブなレビューもぜひ
https://www.odakyu-card.jp/news/information/feature/2020/09/07/45312/
~ 文/賀来タクト

>「太陽のテノール」とは、日本の映画会社もよくぞつけた副題である。

同感!

サウンドトラック

Soundtrackがここで 聞ける。音響へのこだわりを感じる。

https://www.youtube.com/watch?v=cp1TruD06i0&list=PLDisKgcnAC4QJJKTDwqJR_5Tg174fWPAz

🍃🌹🍃

これが最期が近づいているベッドで、娘二人と一緒に聞いた彼の昔の録音(ピアニスト:John Wustman)

自分の録音を聞くのが嫌いだったが、娘に「だけど、上手かったんだな」
と。本当に驚いていた、と娘が語った。
https://www.youtube.com/watch?v=3Nwm4tRhVak&list=PLDisKgcnAC4QJJKTDwqJR_5Tg174fWPAz&index=18


Stradella: Pietà, Signore (Live) | Pavarotti OST

最後に自分ごとだが...
映画を見ていて、METの配信を4月半ばから見ていたおかげで、ほとんどの曲がどのオペラから来ているものかわかった。コロナ以前では不可能なことだった。

あらためてMETの配信に深く感謝!🙇‍♀️

オペラやクラシックの歌詞が彼の人生の色々な場面に重なりパヴァロッティ の一生に花を添えていた。

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