翻案と原作について「セクシー田中さん」の件から考える
「セクシー田中さん」の作者、芦原妃名子先生が亡くなった、との報を見た。2〜3日前に、問題になってるらしい、とのツイートを見たばかりだったのに、こんな短期間で原作者が人生を終わらなければならなかったなんて。
わたしは残念ながら、芦原妃名子先生も作品も知らずに生きてきた人間である。だが、好きな漫画家さんは何人かいるし、メディアミックス化された作品も複数作品見ている。メディア化したから原作を読んでいる作品もあったり。だから他人事ではないと思っている。もしかしたら推しの漫画家さんが被害者だったかもしれない、なんて。
最近はドラマ原作が漫画であることが多いなぁという印象だったのだが、原作者をリスペクトせず、挙句にこんなことにしてしまうなんて、テレビ局は傲慢だな、と思ってしまう。他人様の作品をお借りしている立場なのに、それを忘れてしまうのか、それともテレビ局が昭和の体質から抜け出せていないのか。そういう姿勢をやめないから、テレビ離れが加速していくのに。
わたしは役者である前に知的財産管理技能士なので、著作権についても勉強した事がある。世の中の著作者がみんなこれをちゃんと知っていれば、今回のような事件は起こらなかったかもしれない。タラレバになってしまうが。
全ての作品(著作物)には著作権が発生する。作品を創作した者が有する権利だ。その著作者が、自分の作品がどう使われるかを決めることができる権利。作品をメディアミックス化する側も知っていて当たり前だし、どのような契約が結ばれていたのかはわからないが、原作者が「漫画に忠実に」と言っていた点やそれに沿っていなかった場合は原作者が脚本を執筆する可能性があると予め伝えていた点を見るだけでも、それに同意して作品をお借りしたのはテレビ局の制作側だ。それにもかかわらず、再三の改変を繰り返した挙句、あんな誹謗中傷まがいのコメントを脚本家がお気持ち表明してしまうなんて。この場合、翻案権(著作物を用いて新たな著作物を創作すること)に関わる契約がどのような内容だったかはわからないが、少なくとも原作者が忠実に再現する場合のみ許可すると言っている以上、それが守られるのが当たり前であるし、これは著作権に詳しい弁理士にお願いすれば著作権侵害を訴えて勝つことができたと思う。
そのくらい著作権は権利がしっかり確立されているものなのだ。間違っても今回のような、原作を踏み躙った挙句に、命を奪った側が「ご冥福をお祈りします」なんてことがあって良いはずないのだ。どのように作品が使われるかを決める事ができるのは原作者の権利である。原作者の意向に沿っていない場合はもっと強気に言うべきだし、貸してあげてるんだからこっちの意向に沿えないなら貸しませんくらいは言っても良い。
今後このような事が二度と起こらないことを願っている。
Anne
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