見出し画像

「なぜなぜ期」にどう向き合ったか

本格的に娘の「なぜなぜ」が始まったのは2歳になる頃だった。
娘が4歳になった今、振り返ってみると「なぜなぜ期」は大きく分けて2種類、細かくは3種類あったように思う。

4歳になった現在も「なぜなぜ」に付き合う毎日を過ごしているが、これまでの流れをここに記録がてら記したいと思う。
案外大事とされている「なぜなぜ期」に向き合う一つの例としてどなたかの参考になれば。

1、なぜなぜ第1期「What's this?」

第1期のはじまりは「What's this?」だった。
とにかくモノの名前を知りたがる。

「あれは欄間だよ」
「これはラッチだよ」
「これはper doorだよ。日本語では戸あたり」
「これは電柱標識板」
「これは蝶番」

などと、大変マニアックな物までとにかく名前を知りたがった。
娘が1歳くらいの話である。

正直この手の質問に答えるのはこの時代は楽なもんである。
この右手に握られているスマホで、ぽちぽちと検索すれば大抵の名前は簡単に調べられる。
イージーすぎてありがたい。
どんどん名前を知って覚えて貰えば良いのよ、と思っていたのだが「なぜなぜ期」は、じんわりとハード味を帯びてくる。

次第になぜなぜは様相を変えだす。

「ランマってなんであるの」
「ラッチがドアにないドアもあるの」
「戸当たりは何するためのもの?」
「電柱標識板はなんで黄色と黒の縞々でボコボコなの?」
「蝶番、取れる?」

となってくるのである。
ぐぬぬ。
しかしここまではまだ良い。
なんとかかんとか我が「大人力」で乗り越えられる。
厄介なのがここからだ。
ここにきて「なぜなぜ2期」を迎えることとなる。

興味があるものを目の前にすると
上唇が出る
(娘1歳)

2、なぜなぜ第2期「仕組み」について知りたがる

「2期」は「1期」とは性質が大きく異なる。
「知識」として物の名前や役割を知りたがるのが1期とするならば、2期は「そのしくみ」に着目しはじめるのである。

ここで言えば

「欄間が障子の上につけられることによってなんの効果があるのか」
「ラッチとドアノブの関係性」
「戸当たりがないドアとあるドアには開き方や閉じ方の違いがあるのか」
「電柱標識板はなぜ夜にライトが当たると光って見えるのか」
「蝶番にはどんな素材が使われるか」

という類、と言えば分かっていただけるだろうか。

こうなると、それらをスマホで調べられても、一言で説明するのが難しくなってくる。
説明するのには前提となる知識が必要で、段階的に順を追って説明していかなくてはならない。

理解力もまだまだ発達段階だろうに、その厄介極まりない、なぜなぜ2期を迎えたのが、娘の場合は2歳だった。

小学生ならば該当する本を読んでもらえれば即解決である。
しかし我が子は残念ながら小学生ではなく、まだミルクの残り香がプンプン漂う2歳なのだ。
文字も読めないから本は読めないし、何を説明したってわかりっこない。

しかし彼女は知りたがるし、疑問は連日、湧き出るように次から次である。

私たち親は困り果てた。
さてこの小さな可愛い我が子の好奇心を、どう扱おう。
結局考えた末、我が家ではこの好奇の心を、大切に扱うことに決めた。

たった2歳に何を説明してもいつかは忘れるだろう。
説明や学びに時間を割くことが、時間の無駄になるかもしれない。
こんなことに疑問を抱いていたことすら忘れてしまうだろう。
でも「なぜ」を丁寧に扱うことで、新しい世界が開け、新しい景色がそこにはあることが、彼女の「無意識」に刻まれるのではないかと、そう思ったのだ。

3歳までは「無意識」を作る時期だと思っていたので、我が家の方針としても、この「なぜなぜ」を無下に扱うことができなかった。

山からなぜ火が噴くのか、その仕組みが知りたい
(娘2歳)

3、娘の好奇心を「丁寧に」どう扱ったか

文字も読めない、言葉もまだたどたどしい2歳に物事の仕組みや道理をわかってもらうのには、とにかく視覚をはじめ、五感に訴えることが最善だと思えた。
と言うか、それしかできないではないか。
たったの2歳だぞ。

「なぜ」と問われたものをメモし、それを一つ一つ解決してあげる中で活用したのは

・図鑑→書いてありそうなことというより写真が活用できそうなら開いた
・絵本
→一応探してみるが、理科系のなぜなぜは解説が多くあまり活用できなかった。大体が小学生向のもので2歳向けではなかった。
・動画
→かなり活用した。解説で難しい部分は親が簡単な言葉にして説明してあげた。
・実体験→百聞は一見にしかず

だった。
とにかくこの「実体験」に全てを方向付けた。
できるだけこれらの「なぜ」にいろんな思い出、可能であれば
「大掛かりでインパクトのある楽しい思い出」をとにかく沢山紐付けること
を一番に考えた。

他人から見れば、2歳のベイビー相手に何をやってるんだ、である。
こんなに娘の好奇心に振り回されているのに、外野から見たら「赤ちゃんを連れ回すヤベェ教育ママ」だ。
わかっている。
でも外野の目を気にしていてもしょうがないのだ。
「頭おかしい母親」をやろうじゃないか。
我は我が母親道を進むことを覚悟した。

動物園や植物園には必ず図鑑を持って行った。
そんなところで図鑑を広げる親子なんて他に誰もいなく、周りの視線が痛い。
わかる、わかるよ。動物園は図鑑広げるところじゃないよな。
わかってるよ。。。ヒィ。。

内之浦にイプシロンの打ち上げに行った時は、見知らぬおばさんに
「こんな小さい子を連れてくるなんて、将来は科学者かしらねえ、ほほほ」
とあからさまに嘲笑された。
わかる、わかるよ。
打ち上げを見に行くだけならともかく、赤ちゃんにイプシロンの説明パネル見せて歩いてるの、やばいよね。ウゥ。。

科学館に「これがなぜ振ったら伸びて、勝手に戻るのか教えてください」とペーパーヨーヨーを持って尋ねさせたときも「えっ!?お嬢ちゃんいくつ?」と聞かれた。(娘は真顔で「2歳です」と答えた)
わかる、わかるよ。
2歳に何説明しろって言うんだ、って感じだよね……。アァ。。

でもこのペーパーヨーヨーに関しては、ちょっと思い出深い。
当時、いくらネットを漁っても本を見ても、ズバリ答えが書いていない難しい問題だった。
私は理系の人間ではないので、どう頭をひねったところで分からないのだ。
いくら手を尽くしても、自力で解決するのは難しかった。

こうなれば最終手段。
プロに聞こう。

「なぜ」を抱いたら人に聞くのも手段の一つ。
「なぜ」と思うのはあなたなのだから、私は人に聞いてあげない。
連れて行ってあげるから、自分で聞いてきなさい。
と言っていた。
家で人に話しかける練習を何度も行った。

練習の成果をなんとか出し切り、我が家の2歳はモジモジしつつなんとか自分でペーパーヨーヨーを片手にスタッフの方に聞きに行った。
しかし相手は2歳。
科学館の方は、ぷくぷくのベイビーにそんなことを突然聞かれ、かなり戸惑っていた様子だった。

しかし対応してくださった科学館の方は最初こそ戸惑った様子だったものの、本当に親切にしていただき、娘や私を小馬鹿にしたり曖昧にごまかすことはなかった。
ペーパーヨーヨーそのものも珍しがっていただき(ファミレスのお子様ランチについてきたおもちゃだった)、後日しっかり文書にて回答頂いた。

内容は2歳にはとても難しく彼女には理解不可能ではあったが、ペーパーヨーヨー片手に、胃を決したように駆け出す娘の後ろ姿は、私の記憶にしっかりと残っている。
そして、回答をいただいた時の彼女の嬉しそうな顔も。

4、「なぜ」を丁寧に扱った結果


この「なぜ」を丁寧に扱った結果かどうかは判断が難しいところだが、現在4歳の娘はとにかく多方面に様々な興味を抱くタイプに育っている。

物理や倫理、数学に生物学、宗教学に死生学、歴史に環境破壊、世界の遺産や政治、戦争心理学や科学。
彼女にとってそれらの全てになんの垣根もなく、相変わらず「なんでかなあ」をやっていて、私個人としては大変羨ましい。

「疑問や知る」ことに関して「苦手とか嫌い」が一切ないのである。
なんと心底羨ましいことよ。
私なんて勉強嫌いで、嫌いな教科だらけだったぞ。

そしてこんなことを2歳からさせていたせいか、その副産物的なものとして「物怖じしない子」に育った。
2歳の時にはまだまだ人見知りをしており、私にすがるような視線を向けていたが、今や
「人に聞きに行く」「人前で何かをする」
など、親のそばを離れて一人で何かをすることを、なんの抵抗無く行う。

「それは私に聞かれても分からないから、あなた自分であそこにいる人に聞いてきたら?」
と言うと、そうだね行ってくる、と行って駆けていく。
そして
「あの、すみません、こんにちは。ちょっと聞きたいことがあるんですが」
と話しかける。
一人で何も言わずともそれをやれるようになったのは3歳だ。
何事も場数だなあ。

「なぜなぜ」を丁寧に扱うところから始まった我が家は、それから彼女の「なぜなぜ」に大いに振り回されることとなった。

こうなりゃしっかり本腰入れてやっていこうと取り組み始めたのが、以前記事にした「Enjoy tne knowing」である。

3歳時には死生学Enjoy the knowingとして一年を通じシリーズ化した取り組みを行った。
様々な視点から「死」を学ぶ機会を設け、その一環として原爆資料館や原爆ドーム、そして平和記念式典にも足を運んだ。
それらをスケッチブックにまとめ、人にプレゼンできるように練習し、祖父母や叔母、我々親の友人の前でプレゼンをさせるところまで行った。
(詳しくは追い追い記事にしたいと思っている)

娘の2歳から3歳期(4歳直前)に行ったEnjoy the knowingのテーマは以下、一覧として記しておきたい。
どなたか、子供の知的好奇心に振り回されるご両親の参考になれば幸いである。

それぞれの「なぜ」をどう解決したか、という事に関しては、それぞれのボリュームが多いので今後有料記事にて展開を計画している。
ちょっと時間がかかりそうだが、導入から展開、アクティビティへの流れや、その時自作したワークシートなども可能な限りこちらに残せる形にして記事をあげたいと思っている。

5、娘2歳〜3歳の「なぜなぜ」一覧(一部有料)

約50個のなぜなぜを箇条書きにてまとめている。
テーマのみではあるが、娘のオリジナリティの部分なので、途中より有料とさせていただく。
<理科系>
・なぜ海は青いのか
・アリはなぜ壁を落ちずに登れるのか
・ペーパーヨーヨーはなぜ振れば伸び、勝手に戻ってくるのか
・惑星の特徴と理由について
・蜘蛛の目はなぜたくさんあるのか
・蜘蛛の巣のサイクルについて

ここから先は

827字

¥ 200

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が参加している募集

#育児日記

48,935件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?