無理無理童話88
本文
「88種類ですか~⁉無理です無理です~!」
私が何故このような状況になっているのかというと、新しい企画が持ち上がり、その担当に私が選ばれたからだ。
タイトルは「童話88」。
内容は、童話を88種類実体験してくることである。
四国遍路や星座観察じゃあるまいし……
私がどうこう言おうと、企画はどんどん進んでいく。
拒否権はないらしい。
上司は私をとあるATMの前に連れてきた。
「これはグリム童話ATMと言ってな、ATMの前に立つだけで君にぴったりの物語を選んでくれる。希望すれば多くの物語を体験することもできる」
ということらしい。
私がATMの前に立つと、音声案内が流れた。
気付くと私は全然知らない場所にいた。
何時になったら帰れるのだろう、そればかりが脳内を埋めていた。
ATMの前に二人の人物。
上司たちだ。
「本当に良かったのですか。彼女にとっては酷ですよ」
「問題ない。あいつはこのまま低評価のままだろう」
「しかし…」
「見殺しとでも言いたいのか?」
「そう…ですけど…」
「罰が当たっただけだ。能無しは消えればいい」
「…………」
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