頭の中の声

わたしは記憶力が悪い。

1年前の出来事も、それが1年前の出来事なのか、数年前の出来事なのかわからないことも多いし、

印象的な出来事も、誰かに言われるまで思い出せない、思い出すのに時間がかかるという有様。

けど、子どもの頃の「なんで?」な記憶は割と覚えている。

いちばんの記憶は

頭の中の声。

声に出していないはずなのに、

どこからか声が聞こえてくる。

誰にも言っちゃいけない秘密のことも、声が漏れてくるので誰かが近くにいたら聞かれちゃう。

静かにして欲しいのに黙ってくれない。

誰?

なんで?

誰かに見張られているんじゃないかと心配になったり、時には何人かがケンカをしたように言い争いをしているので、とっ散らかって大変。

とにかく怖かった。

成長するにつれ、頭の声は自分のもの(考えていること)だということに気づいて安心するのだけれども、

この不安な感覚は未だに続いている。

「これはあくまでも思考の中の声なのか?」

「うっかり声に出ているのではないか?」とたまに不安になったりする。

と言うのも、基本的にわたしの思考は映像が主体で、映像にナレーションが付いているような感覚で物事を考えるので、たまにナレーションがメインだったり、ナレーションのみだったりすると、頭が混乱するんである。

この思考の仕方も、みんなはどんな感じなのだろうと不思議でたまらない。

ナレーション付き映像が頭の中で流れているのだけれども、

現実に目で見えている映像もちゃんと認識しているという、考えればなんとも不思議な現象。

例えば運転中。

夜道を走っていて、急に動物が飛び出してきたらどうしようと飛び出してくるイメージが浮かび上がるのだけれども、実際にはただ道路が続いているだけ。

この想像と現実の境界線が常にはっきりとしているのか、不安になる。

まさに『胡蝶之夢』状態。


みんなの頭の中を、見てみたい。

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