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藝術家の隠れ家にお邪魔する 〜神田神保町『喫茶トお酒 襤褸(boro)』〜

2024.01.17の記録です。

 山本タカト先生のファンである友人に誘われて、神田神保町に新しくできるという『喫茶トお酒 襤褸(boro)』にお邪魔しました。

『襤褸』の看板も山本タカトさんの手によるもの。

 お店のXをチェックすると「旧ミロンガ跡」とあります。
『ミロンガ ヌォーバ』を検索してみたら、無事にマップが出てきました。……が、現地に行ってみると「定休日」の札が!ピンチ!
 友人が注意深く辺りを見回して、ミロンガさんの左脇にある細道を発見。
細道の途中に、アイビーのグリーンカーテンが素敵なお店の看板が見つかりました。

「営業中」の文字にほっと一息。
開店お祝いの胡蝶蘭もおいてあります。

 現在はプレオープン中の襤褸さん。
1月16日から23日までの期間は、11:30~18:00の間営業されています。
「OPEN」のサインが下がっている間に入ろう。そうしよう。
ちなみにラストオーダーは17:00とのことでした。

 前にこの場所で営業されていた『ミロンガ ヌォーバ』さんは、昭和28年創業。アルゼンチンタンゴをLPで聴けるそれはそれは瀟洒なカフェでありました。
 更にその前身を遡ると『ランボオ』という喫茶店がこの地で営業しておりました。三島由紀夫先生、遠藤周作先生、吉行淳之介先生といった作家がこぞって通ったその当時の風情がどこまでも素敵です。遠藤先生と原民喜先生が連れ立って通ったらしいと知って、ふぉぉ!となる文学オタク。ここで文学談義をできたらすごく楽しいだろうな…

小ぢんまりした丸テーブル。とても居心地良さそうでした。

 砂色の壁に巨大なパルテノン神殿の写真。そして数々の芸術作品が飾られた空間は、足を踏み入れるだけで刺激をもらえそうです。
『さんたつby散歩の達人』さんに掲載された『ミロンガ ヌォーバ』さんの在りし日の写真を見ると、内装は結構変わっているようです。時代の変化に合わせた素敵な空間が広がっていました。

店内の調度も魅力たっぷりです。ずっと座ってたくなる…

 4人席に通してもらい、内装に感激しながら着席。
自身も藝術家である友人は、椅子の表面に刻まれた模様がとってもお洒落!と喜んでいました。実は天井ランプも少しずつ形が違うのです。
ついつい見上げて、見惚れてしまいました。

 こちらはメニュー。お店の来歴が記されているのでしっかり読み込んでしまいました。日本詩壇をリードする雑誌が生まれた場所だったから、最初のお店が『ランボオ』だったのでしょうか。
『GALLERY KOGURE』さんのHPでも全文を読むことができますので是非!

端正なメニューの右側に、店主さんのご挨拶。

 珈琲とお茶が数種類、一通りのソフトドリンクといくつかのお酒類が記載されていました。
 特筆すべきはお食事メニューの名前!どれも美味しそうで迷ってしまいました。喫茶店でしか食べられないラインナップが嬉しいです。
本日は『襤褸風焼シフォン・ハムチーズ』とオーガニックティーのドリンクセットを注文しました。

他のメニューも早く見てみたい!レポ希望…

 ブースに並ぶピカピカのポットやグラスたち。
格子窓の向こうにも山本タカト先生の作品が見える贅沢…

レジの後ろで準備を待つグラスたち。

 お茶が来る前に店内を鑑賞(お邪魔にならない範囲で)。
壁に貼られているポスターは『透明人間』
ユニヴァーサルが1933年に制作したホラー映画とのことでした。
「怪人クロード・レインズ氏全演」の文字が気になります…
映画の詳細が気になり『なんば駅前 南街映画劇場』を検索すると
古い写真がたくさん出てきて、ついつい記事を読み耽ってしまいました。

 そうこうしているうちにお茶がやってきました。
ポットの形がキュートです!
1人ひとつポットを提供してくださるのが嬉しい。
たっぷり2杯飲むことができます。
途中濃くなりすぎてしまったのでお白湯をお願いすると、快く提供してくださいました。

とっても飲みやすいお茶でした。
他の茶葉も飲んでみたいなぁ。
底には『襤褸』の文字が。洒落てる~!

 そして『襤褸風焼シフォン・ハムチーズ』もやってきました。
この日は混雑していたこともあってか、30分ほど待ちました。
ゆっくりお茶を楽しみながら待つことをお勧めします。

とろとろのチーズに、生のパセリついてる!これぞ喫茶店飯。

 卵がたっぷりしみこんだシフォン生地を焼き上げて、大きなベーコンととろけるチーズ。そこにメープルシロップをたっぷりと。
弾力のあるシフォンケーキがとても美味しい…!
苦手でなければ粒マスタードを多めにつけるとより美味しいです。
甘い&しょっぱいでどんどん食べられてしまう。

 帰る前に、友人が楽しみにしていた芸術鑑賞へ。
喫煙室はお店の右手側で、入り口を境に分煙になっているのですが、こちらにも額装された絵やマネキンが飾られています。
お酒を飲むなら右手側のご利用をお勧めします。
令和の時代に、ちょっとただならぬ雰囲気が味わえます…

芸術作品の鑑賞も楽しいお店です。
こちらは喫煙室側の絵。

 17:00のラストオーダーの確認を受けて、
ガラス扉から外を見るとそろそろ日が暮れている頃。
この辺で失礼しなければと席を立ちます…楽しかったなぁ。

お会計の時にいただいたショップカード

 路地も薄暗闇に包まれていました。
グランドオープン前に1月24日から2月2日まで休業されるそうですが、その後は夜の営業時間も予定されているのでしょうか。
今でもお酒を飲むことができますが、夜の神保町をほろ酔いで歩くのは楽しそうです…

 移転された『ミロンガ ヌォーバ』さんの前を通りかかったのでついでに撮影。
移転後のビルも年を重ねた雰囲気があり、しっくりと風景になじんでいます。次はオープンしている時間帯に伺いたいです。

 お店でお茶をしている間、熱心に話し込んでいる2人組がいました。場所柄、編集者さんと漫画家さん…なんて組み合わせだったのかもしれません。
そうだったらいいなぁ。
数々の作家が苦悩を育てて大きな花を咲かせてきたお店で、才能に悩む人にも、素晴らしい手掛かりが見つかりますように。

お店の情報をまとめておきます。
このレポがどなたかのお役に立てば幸いです。

喫茶トお酒 襤褸

住 所:東京都神田神保町1-3-22
営業時間:11:30~18:00(L.O 17:00)
定休日:月曜
休業日:2024年1月22日、1月24日~2月2日

※不備がありましたら、お手数ですがお知らせください。


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