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父が倒れた

1ヶ月ほど前、父が倒れた。

その日、私は新しい仕事を無事終えちょっとした達成感を味わいながら、ほくほくした気持ちで家に帰った。帰宅して、ふと電話を見たら、いつの間にか着信履歴がある。あれ?と思っていたら再度身内から電話があり、父が倒れたことを告げられる。

「えっ?」

正直「倒れた」と言われても、どういう状況なのか全く見えなかった。地元にいる家族は病院に行ったが、私の場合は車で2時間はかかってしまう。そもそも、すぐに駆けつけるような状況なのかそうでないのか。

そんなことをぐるぐる考えながら、とりあえず待機すると決め、連絡を待つ。

最悪の場合、薬を投与している時点で亡くなるケースもあるらしいのだが、そこは脱したようだと連絡がある。ひとまず小さく安心して、もうあとは経過を見るため家族は帰るしかないのだけれど、その後は「次に父に会えるのは退院後」と聞かされ、ここでコロナの影響というものを目の当たりにする。そう、入院患者のお見舞いは基本的に禁止なのだ。

えーっ…。

経過次第ではあるものの、ひとまず1ヶ月は入院するという話だから、すぐに地元に戻ったところで父に会うことはできない。

顔も見ることができないなんて何なんだ、というもどかしさ。同時に、入院してしまった父に会う怖さを先延ばしにできる、という思いがよぎったのも事実。

何ともいえない、複雑な気持ち。

でもとにかく何かしなくちゃ、という気持ち。

父の顔を見ることはできないけど、ひとまず母や家族の様子を見に、近いうちに実家には行くことにした。


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