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サマーカット

以前は飼い主さんが口を揃えて「サマーカットで!」とオーダーされて「サマーカットって何ですか?」と注文を細かくチェックする、というお約束のやり取りが良くありましたが(笑)今は極端に短くカットする事によって起こる問題が(でたらめも含め笑)多くSNSなどで取り上げられ、ほとんど死語になりつつありますね。

サマーカット、でツルツルの丸刈りをイメージする方もいれば普段より少し短めで・・・くらいのイメージの方もいらっしゃるので恐ろしくて(笑)確認するのですが多くの飼い主さんもわかってなかったりします。・・・そもそも「サマーカット」「ブーツカット」「ベアカット」「アフロカット」「おパンツカット」「ニュアンスアフロ」などなど・・・サロンごとに『適当に』わかりやすいように名付けてあるだけなのですが、インスタなどで見た飼い主さんはそのまま言えばわかる、と思っているのでビクビクします(笑)。人間の美容院でも「ショートカットで!」では恐らく希望のスタイルにはなりませんもんね。

さて、そのサマーカットですが、多くの方がご存じのようにワンコの被毛は寒さからも暑さからも身体を守る断熱材のような物ですから極端に短くすると一見涼しそうですが実際には気温がそのままワンコに伝わり、より熱中症の危険が増す場合もあるので、私もお客様にオススメはしません。

ニンゲンからの見た目は満足でも、ワンコにとっては嫌がらせ(汗)みたいになりますので。

またもう1つトリマーが懸念するのが

脱毛&毛質の変化

これはポメラニアンのような下毛と上毛のあるWコートのワンコに多く見られますが短く刈った後、数か月経ってもまだらにポソポソ・・・っとしか毛が生えてこない!現象です。ポメだけでなくフワフワ毛タイプのチワワやダックス、ミックスなど多くのワンコにその傾向があります。「脱毛症X」とか「毛刈り後脱毛症」などと言われていますが、ヒドい皮膚病のコのようにまだらに生えてきたり、見事に(!)脱毛したり・・・あるいは普通に生えてきてると思いきや首回りだけ生えそろわない・・・などワンコによって症状も様々です。これの恐ろしいところは

やってみないとわからない

のですよ。昨年は刈っても問題なかった、毎年刈ってるけど大丈夫、なコが急に発症するのです。それでも軽症なら1年ほどで元に戻りますが、ヒドい場合は一生キレイに生え揃わないことも・・・!

そしてもう1つ恐ろしいところは

ウチのコは大丈夫!

と、多くの飼い主さんが軽く考えているので発症した時のショックが大きく、中にはトリミングサロンにクレーム・・・なんて事も起こるので、中には「脱毛症になっても文句言いません」的な承諾書にサインして頂いてからバリカンをかけるお店も実際にあります。

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なので、私たちトリマーは極力避けたい施術なのですが・・・避けられないのが・・・

大毛玉

添付した写真のように、もう皮膚に毛布が接着されたような毛玉はもう刈ってリセットするしかありません。この毛玉も数年モノですが(汗)ブラッシングもせず、自宅でシャンプーしては自然乾燥、という1番典型的な毛玉作りの手法で作成されています。となればワンコは当然トリミングされることにも慣れていませんので、数時間かけてハサミで裂いてはブラッシング・・・には耐えられませんし、虐待の域です。このワンちゃんは中型のミックスですが、とても脱毛のリスクの高い毛質ですので、何度も飼い主さんに念を押して刈りました。その後、どうなったか心配はしていますが・・・予想通り(汗)また何年もご来店がないので知る由もありません。

ニンゲンとイヌは異なる動物ですから良かれと思って嫌がらせしてる(汗)有難迷惑な事もたくさんあるので、常にお勉強しないといけませんね。

ホントに~?と思ったら、通りがかりのハゲた方に「ハゲは暑いんですか?」もしくはバレバレのカツラの方に「ハゲよりカツラの方が過ごしやすいですか?」って聞いてみて下さい。

私は恐くて聞けないので聞いたら教えて下さいね♪

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