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インド映画レビュー

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試写会などで鑑賞したインド映画のレビュー
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記事一覧

『人質 韓国トップスター誘拐事件』試写会行ってきました!

みなさんこんにちは! 楽しいインド案内人アンジャリです。 いつもイン度イン度高めの私ですが、この度、映画『バーフバリ 伝説誕生』、『バーフバリ 王の凱旋』配給の株式会社ツインさんが9月に公開予定の韓国映画『人質 韓国トップスター誘拐事件』を鑑賞してまいりました!(お声をかけていただき感謝致します!) 以下重要なネタバレはありませんがイン度が高めでレビューといえるのかは自信がありません。 誘拐! 脱出! という定番モノ 誘拐・脱出モノはこれまでにも多くの作品が作られてきて

『グレート・インディアン・キッチン』を観てきました

キッチンは聖域で、料理は祈り。 そんな風に私は思っている。19歳でひとり暮らしを始め、初めて自分のキッチンを持ったときは誇らしかった。道具をすこしずつ買い集め、友人を招いては料理を振る舞った。20代はほとんど旅暮らしで、世界のあちこちを移動したり、一定期間暮らしたりした。そのたびに、ちょっと分不相応なほどのかさばる調理器具をもって、えっちらおっちら移動した。 30代半ばで家庭をもったときはフルタイムで働いていた。そんな余裕はどこからどうみてもないのに、身重の自分のために、

インドで女性であることとは - 映画『タクシードライバーの私』(Where to, Miss?)を観て

偶然知ったところによると、この記事を公開予定の9月27日は1917年に日本で初めて女性が運転免許を取得した「女性ドライバーの日」なのだそうです。 さて、くしくもそんな日を前に、アジアのドキュメンタリー映画を専門に配信するアジアンドキュメンタリーズさんで『タクシードライバーの私』(Where to, Miss?)という作品を観ました。外で働き、夜、移動する女性たちの安全のためにタクシードライバーになりたいと願う女性デーヴキを追う作品です。 デリーは危険なのかインドの地方都市

青柳拓監督『東京自転車節』を観てきました!

さてさて。インドとはあまり関係がないのですが、若きドキュメンタリー作家、青柳拓監督の『東京自転車節』を観てきました。 コロナ禍で仕事がなくなり、山梨から東京に来てUber Eatsで稼ごうという27歳の映画監督のセルフドキュメンタリー。主にカメラをまわすのも、主演も、監督ご本人。 東京でUber Eatsをしながら撮ってみないかと青柳監督に持ちかけたのがプロデューサーの大澤一生さんとパンフレットで知る。昨年、公開初日に観てその後ずっと私の心にある映画『タゴール・ソングス』

映画『Mumbai Meri Jaan(我が愛しのムンバイ)』を観て極私的なインドの多様性を思う

皆さんこんにちは。楽しいインド案内人アンジャリです。 せっかく会社をつくったのに表に出せる案件がありませんで申し訳のうございます。仕事遅いなと自分でも思いますハイ。 今日は久しぶりに映画のことなど。『Mumbai Meri Jaan(我が愛しのムンバイ)』という2008年の作品です。2006年に起きたムンバイ近郊での列車爆破テロを巡り、属する階級や暮らしぶりがまったく異なる5名の物語を巧みに織りまぜた作品。 日本公開はなく、日本語字幕のDVDもない作品、おまけに重いテー

眠れないJet Airways【2006.1.15ブログ記事より転載】

(封印していた過去ブログより転載。オリジナル投稿は2006年1月15日) さて突然ですが、年末年始はインドに行っていました。またかよ、という感じですが、なにげに1年半ぶりです。 今回はロンドン出発ロンドン戻りという史上初の試み。去年、国際線が就航し始めたJet Airwaysが乗り入れていることを聞きつけ、さっそく乗ってみました。 Jetはインド国内線でかなり何度も乗っていました。Indian Airlinesの粗悪なサービスに耐えていた時代から考えるとJetはまさに天

『タゴール・ソングス』を観てきました

映画館で聴くインド国歌3か月ぶりの映画館! 『タゴール・ソングス Tagore Songs』の初日初回に行くことができました。 極私的な散文ですが内容にも触れているので未見の方はご注意ください。 企画したツアーがすべてキャンセルのいま、映し出されるコルカタの景色はそれだけで「エモい」。この言葉そんなに使わないけど、これ以外に思い浮かびません。 劇中、最初のほうでふいに流れるインド国歌『Jana Gana Mana』。インドの映画館では州によっては開映前にこの曲が流れます

生きる力を育てること: 『シークレット・スーパースター』と印日リアル若者像

2017年の大ヒット作『シークレット・スーパースター』がいよいよ8月9日(金)に日本公開ですね。 公式サイトはこちら 様々なジャンルがあり、映像も脚本も超インド「ド」ローカルから一線を画すレベルになったいま、もはや「インド映画」という分け方は雑すぎるというか、あまり意味がないからそろそろ卒業しませんか……ということをまずは記しておきたい。 この作品は、抑圧され自由に夢見ることがままならない少女が、PCとYoutubeというツールを手に入れ、匿名で歌を発信することにより多

映画『ヒンディー・ミディアム』 現代インドのリアルすぎるリアル

登場人物が全員、リアルの知り合い誰かに重なる……というくらい「いまのインド」を絶妙に凝縮した映画でした、『ヒンディー・ミディアム』。娯楽大作の派手さはないけれど、役者のうまさと脚本の妙で楽しめる、重くなりすぎないコメディタッチの社会派作品。2019年9月6日(金)から全国ロードショー! ◆8/9(金)『シークレット・スーパースター』のフィルムランドさん配給です◆ ◆◆◆◆◆◆こちらもぜひご覧くださいませ◆◆◆◆ ※背景説明以上のネタバレはありませんが予備知識なしに観たい方

映画『あなたの名前を呼べたなら』:自分の足で歩くという自由

楽しみにしていた映画『あなたの名前を呼べたなら』を観てきました。以下、ネタバレはありませんがいつものように背景についての話やアンジャリ個人的体験が含まれます。事前情報なしで観たい人はご注意くださいねー。 ◆2019年8月2日(金)から全国ロードショー中◆ 公式サイトはこちら 階級、ああ階級観ている風景が違う。食べるものも着るものも違う。話す言葉も違う。 使う人と使われる人は、たとえ同じ空間で同じ空気を吸っていたとしても、決して交わることはない。 これ、旅行者だと分かり