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眠れないJet Airways【2006.1.15ブログ記事より転載】

(封印していた過去ブログより転載。オリジナル投稿は2006年1月15日)

さて突然ですが、年末年始はインドに行っていました。またかよ、という感じですが、なにげに1年半ぶりです。

今回はロンドン出発ロンドン戻りという史上初の試み。去年、国際線が就航し始めたJet Airwaysが乗り入れていることを聞きつけ、さっそく乗ってみました。

Jetはインド国内線でかなり何度も乗っていました。Indian Airlinesの粗悪なサービスに耐えていた時代から考えるとJetはまさに天国のようなキャリアであります。

さて国際線。乗務員の顔ぶれが面白い。

JALで働いていたという日本語を少し話せるタイ人がいたり、あっさり薄い系のマニプリっぽい人がいたり、インドインドしていない。

丁寧なサービス。遅れない。食事に気遣いが感じられる。トイレがきれい。インド系が圧倒的なのに客層がみんな垢抜けている。エアル・インディアで、乗った瞬間に否応なくインドを感じるのと比べると、「えーと、これからインドだっけ?」とゆるやかにインドに入っていける感じ。

シートには個人画面があり、オンデマンドで映画が見放題。さすがインド映画はヒンディ以外にもパンジャビやグジャラーティやタミルまで網羅していてお見事だ。

アーミル・カーン特集

帰国便ではアーミル・カーン特集をしていて、思わず「Raja Hindustani」から
「Rangeela」、「Mangal Pandey」を見て、ラール・キラーを歩きながらの
インタビューという番組もしっかり見て、おまけに通常のヒンディ映画コーナーから「Ramji London Waley」という地味な作品まで見てしまい、9時間のフライトで一睡もしない結果になってしまいました。

アーミル・カーンの新作「Mangal Pandey」はセポイの反乱で実在したセポイを主人公にした作品で、「Lagaan」に続く、イギリス植民地からの独立物語もの。イギリスの東インド会社の軍人たちが、これでもかこれでもかと非人道的行為を繰り返すのが絵に描いたようでちょっとおかしく、でもこれってきっと本当にあったんだろうなーと悲しくもある。アーミル・カーンはさすがの役作りでかっこよかった。凝り性ですね、この人。

Ramji Londonwaley(ラムジー、ロンドンで働く)

なんの予備知識もなかった「Ramji Londonwaley」は、ビハールの貧乏な村に生まれるも才能に恵まれた天才料理人ラムジーが、妹の結婚持参金のためにイギリスに出稼ぎに行くお話。

(2021年5月追記)公式のフルムービーがあったのでよかったらどうぞ。英語字幕ついてます。若いころのマーダヴァンが超絶かわいい。

15分で分かるダイジェスト版も公式から出てます。親切だな(笑)

到着するなりお金とパスポートを盗まれ、雇ってくれるはずだった旦那は死んでしまい、途方にくれたラムジー。なんとか仕事は見つけたものの、労働許可を持たない彼は悪徳警官に目をつけられ、イミグレーションの係官に手入れを受け、それを乗り越えるために悪徳弁護士が勧めてきた偽装結婚の話に乗り、どんどんヤバイ方へ向かっていく……。

テムズ河の上やらビッグベンの前やら、ピカデリーサーカスやらで踊るダンスシーンは真剣におかしかった。イミグレの役人に怯える感じなんかもロンドン在住外国人として他人事ではなかったりもし、またまた料理の腕ひとつで人望を集めていくラムジー青年の好感度もなかなか高く、期待していなかったわりには面白かった。突っ込みどころも満載。

最後に大金を手にしたラムジーが「インドに戻って村に学校をつくる。そして自分のように教育を受けられない人を減らす」と訴えるお決まりのクライマックス口上シーンでは思わずホロリと来てしまった。

あたしゃーインド映画のあの最後の口上が好きだね、やっぱり。

出稼ぎインドのお父さんたち

それと前後して、デリーの空港では大挙して出稼ぎ人っぽい貧しい身なりの男たちが不安そうにロビーに群れていた。以前、カルカッタからこういう人たちと同じフライトでバンコクに飛んだことがあるけど、機内、「飛行機に乗っている」ことに興奮した田舎者たちが2等列車のノリでカオスを巻き起こし、そりゃー大変な騒ぎでしたわよ。

あの時は「うるせーよ」と思っただけだけど、今回、こうして彼らを見ていると「がんばって稼いでよね」と声援を送りたくなった。どうしてだろう?

家族のために知らない国へ出かけていくお父さんや若者たちに、以前はまったく感じなかった何かを感じる。ほんと、がんばってよね。

あの人たちと同じフライトに乗るのはちょっとしんどそうだけど。どの便かと思ったらやっぱりバンコク行きエアル・インディアだった。

結論。

エアル・インディアは好きだが、どちらかを選べといわれたらやはりJetを選ぶであろう。スマヌぅ~~~。


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