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サイフティ:Anizine

金沢からの帰り、東京駅から渋谷までタクシーに乗った。降りる時に鞄の中を探ったが財布が見つけられなかったので、慌ててポケットに剥き出しで持っていたPASMOで支払う。仕事場で本格的に探すが財布はない。なくしたかもしれない。

クレジットカードやキャッシュカードを止めたり再発行してもらう膨大な手続きの労力を考えると気が重くなった。まず最後に乗ったタクシー会社に電話。次にJRの落とし物窓口に電話をした。「ただいま、電話での対応は6人待ちです」というアナウンスが流れた。慌て者は俺以外にもたくさんいた。SMSを使ったチャットならすぐに繋がるという。チャットはとても整理された対応で、機械からの定型質問に答えていくと最後にオペレーターからのチャットに切り替わる仕組みのようだ。

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俺の財布の特徴や中身を細かく返信していくと、オペレーターに切り替わった。拍子抜けするほど簡単に、「お客様のものだと思われる財布が届いています」との返事。日本はなんといい国なのか。面倒な手続きをしなくて済むうれしさがこみ上げてくる。しかし、この財布紛失には信じられない前段があるのだ。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。