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マイナスを0に戻す行動:Anizine

ここ数ヶ月、もしかしたら「理想的なサボり」を満喫したのかもしれないと思っている。無駄な打ち合わせがゼロになり、誰にも邪魔されずに仕事ができ、本を読み、ネットで映画を観ることができた。

なくなった撮影以外にもデスクでやることはあるので、いいペースで仕事をしていた。人と会い、美味しいモノを食べに行けなくなったことだけがストレス。

俺は食事というモノを「芸術」の分野だと位置づけている。コンビニ弁当や牛丼は「芸術」ではない。そう言うとコンビニをナメてんのか、と言われると思うけど当たり前のようにナメている。自分で名乗っている英語でのジャンル名が「便利な商店」だからだ。ナメているというのはわざと言い方にエッジを立てているんだけど、世の中には「芸術とそうでないモノ」が存在していることに興味を持たない人は多い。

夜中にトイレットペーパーがなくなった。
コンビニに行こう。
ついでにカップラーメンを買おう。

これは「マイナスを0に戻す行動」であって、ガス欠になったクルマがガソリンスタンドに行くのと同じ。芸術というのはガソリンが満タンの状態で「どこに遊びに行くか」つまり、10を100にする行動のことを表している。

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家電に取扱説明書がついているのは使い方を知るためであって、文学ではない。その存在理由はわかるはずなのに、なぜ「私は小説を読まない。取扱説明書を読んでいるからだ」というマイナスをゼロに戻す行動を武器にできるのか。

「あのな、庶民は生活のマイナスを0に戻すことだけで必死なんだよ」と言われることもわかっているから冷静に聞いて欲しい。それは理解したうえで、マイナスの補填作業をしている最中に芸術を持ち出して話をすり替えるな、逆に、文学の話をしているときに「わかりやすい取扱説明書」の論理を持ち出すな、ということ。

さてこの前書きが何に繋がっているのかは、賢明な読者にはわかっちゃったかもしれないけど、続きはメンバーのみに。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。