どんなレンズを買うか。ブタに真珠。
初心者がレンズ交換式のカメラを買うとき。
だいたい中級機までは初心者・ファミリー向けに標準ズームと望遠ズームがついてきます。キットレンズというヤツです。ある程度の広角から標準、そこから連続した焦点距離の望遠というダブルズームがオーソドックスで、万能で便利そうに見えるんですけどこれがクセモノ。
これらのズームレンズは安価にコンパクトに作りたいのでレンズが暗いのです。暗いとどうなるか。シャッタースピードが遅くなってブレる。だから感度を上げてシャッターを速くしようとすると色が悪くなったり、ノイズでザラザラの写真になる。だいたいの失敗の原因はこれです。
さらにどこかへ出かけるときにズームを2本持っていても、ほぼレンズを交換することなく、最終的には(特に望遠ズームを)使わなくなります。
これを回避するには「カメラを単体で買う」こと。慣れるまでは単焦点の35mm程度の広角か標準の50mmで何でも撮ります。実際のところ、それで困ることはほとんどありません。単焦点は軽くてレンズも明るく、値段もそれほど高くない。高級なモノもありますけど、初心者にはブタに真珠ですから無理して買わなくていいです。
俺たちのように仕事で使うブタは、微妙なニュアンスの違いでレンズを使い分けますけど、そこがわからない、求められていないうちはいいレンズなど不要ということです。
35mm、50mm、85mmくらいがあればほぼ困らない。超広角、超望遠などの極端な焦点距離のレンズを欲しがるのは人情ですけど、それは見たことがない特殊な画角に驚いているだけで、写真の表現にどうしてもそのレンズが必要になることはまずないです。
あと、開放値がF1.2などの場合、数字上のスペックはスゴそうに見えますが開放ではまったく使えないレンズもあります。結局2.8くらいまで絞って使うんですが、それだと値段や重さが半分以下のレンズと大差なくなってしまいます。
一番重要なのは「毎日持ち歩ける重さと大きさ」。大きくて立派なレンズはダブルズームキットと一緒で、使わなくなります。とにかく機材はコンパクトに。写真を撮りたい瞬間にサッとカメラが出てくるかの方が、開放F値などよりずっと大事です。
いつでもどんな場所でも持っていて一番使えるカメラはスマホだというのが、その証拠とも言えます。
定期購読マガジン「写真の部屋」
多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。