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アジアのミスマッチ:PDLB

現在てがけているブランディングの仕事が少しずつ軌道に乗ってきた。

このプロジェクトは「プラス要素を付け足す仕事」に分類される。事業が何もないところから始めてすべてを指揮するスタートアップがあったり、何かしらのマイナスを挽回する、競合他社と差別化を図る、など、ブランディングにはいくつかの目的と方法がある。

我々のブランディングは、情報伝達のためのデザインなど、アウトプット・イメージの整理に重きを置いている。この案件について「プラス要素を付け足す」と言ったのは、すでに商品力や信頼感などは十分持っている企業だからで、あとは認知と洗練されたイメージ付けができれば効果があると判断したたので引き受けた。

この企業は、別のブランドの仕事をする中で知ったのだが、最初に訪れたとき、そのポテンシャルの高さに驚いた。扱う製品はもちろん、アンテナショップそのものは素晴らしい建築家が手がけていて、極めてレベルが高いサービス・オペレーションがなされていた。

あと、足りないのは全国的な「知名度」だけだった。かと言って大がかりなマス広告を打つというように雑な方法では費用対効果が悪すぎる。まずは今までバラバラだったデザインのアウトプットを全面的に整理するところから始めた。

この企業で扱う商品は比較的単価が高いので、ターゲット層の割り出しにはそれほど苦労しない。上質なものには支出を惜しまないタイプだ。そういう企業が表に出すものはどんな部分にも手抜きが許されない。今までいくつかあるショップがそれぞれ独自に発信していたソーシャルメディアについても、ライティングのトーンを統一した。

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マスに近い到達度を持った方法は最低限にとどめる方針だが、ふたつの雑誌に紹介してもらうことにした。どちらも質のいい読者を持つ人気の雑誌で、信頼がおけるメディアではあるが、ここでもアウトプットのトーンは統一したいので我々サイドで撮影をすることにした。

雑誌が出たらここでも詳しく紹介するが、独特なブランドなので注目して欲しい。中でも面白いのはアンテナショップの中にギャラリーがあり、そこでつねに素晴らしいアーティストが展示をしていることだ。これは我々も新たな出会いがあって楽しいし、その楽しさはショップを訪れるお客さんにも十分伝わっていると思う。

ここのブランディングの方法はかなり特殊だと思うが、人が動きにくい現在の状況もあり、まだ正確な効果測定ができずにいる。これから予定しているいくつかのイベントが成功すればある程度は次の目標値を決められる。それまでは我慢が続くが、この数ヶ月の全体の売り上げが思ったほどは下がっていないのが安心材料だ。

今はどんなに大きなブランドでも苦戦を強いられている。世界的な老舗ブランドの廃業も多く、この機会に不採算事業を整理したという話も聞く。いわゆるどさくさ紛れというやつだ。それも悪くはない方法だと思う。問題を抱えながらもカットアウトができないのが日本型経営だから、何かしらの外圧があってくれると助かる、と思う経営者は多いだろう。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。