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『ロバート・ツルッパゲとの対話』先行公開その2


◎無関係な人の前書き より

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客観的な前書き

みなさんこんにちは。通りがかりの者です。

この本は、何の得にもならないことを目的に書かれている、と聞いています。毎日が「生きにくい」と感じている人は少なくないと思いますが、それは得をすることばかり求めているからです。お金が欲しい、地位や名誉が欲しい。タコの種類で言えば、クレクレタコラです。私はそういった下品な欲求が嫌いです。理由は、欲求が下品だからです。持たざる人は欲しがり、持っている人はもっと欲しがる。この下品さを肯定した、「物欲という宗教の信者」が日本を生きにくい社会にしていると感じます。では、生きる上で得をするよりも大事なこととは何なのでしょう。それはこの本を読んでもらって各自で考えてもらうしかありません。

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これはワタナベアニというよく知らないハゲが書いた、「くだらない大人になるための本」だそうです。あらかじめ頭のいい人が読むとバカになる可能性があるので、受験を控えたお子さんがいる家庭などではリビングに置きっ放しにしたりしないようにご注意ください、とのことです。タイトルに出てくるロバート・ツルッパゲは架空の人物です。ワタナベアニは以前から自分が考えたインチキくさい格言をネットに書くのが趣味でした。どんなにくだらない内容であろうとも最後に「ウォルフガング・テイラー」などと書いておくと、立派な哲学者かなんかの言葉に見えてくる。しかし自分で何も考えずに、読んだことや聞いたことの引用ばかりしている人はすべてに引用元があると思い込んでいるので、こんなメールがくるようになります。

「ウォルフガング・テイラーの著作が欲しいんですが、いくら検索しても出てきません。どこで買えますか」

シャレが通じていないんだ、とアニは落胆します。それからは名前を「ロバート・ツルッパゲ」に変えて架空の人物だとわかりやすくしました。しかしまだ「ロバート・ツルッパゲの本はどこで買えますか」というメールが来ます。「そんなおかしな名前のヤツが本を出しているはずないだろ。ちょっとは考えろよ」と怒ってみても始まりません。その誤解に現実の方をジャスト・フィットさせることにしました。俗に言う逆転の発想です。ですからこうしてロバートの本が出版されることは、彼の読者に対する天文学的な誠意とサービス精神のあらわれなんですね。

それを機に、アニはネットでこんなことを書いたらカドが立つだろうと推測できることは、ロバートに言わせることにしました。客観性が生まれるうえ、自分が傷つかないからです。そもそもワタナベアニというのがペンネームですから二重のセキュリティがキマっています。たとえ「ワタナベアニ」という人格が攻撃されようと、本人にも近藤家の名前にも傷はつかない。そう。狡猾なんです。狡猾は決して悪いことではありません。真面目な人がマジメに生きているだけで評価され、終身雇用じみた待遇をされる素朴な時代は昭和50年代にはすでに終わっていますから、「生きるためのセンス」をアップデートしないと、これからのシビアな時代は生きていけません。

どうせこんな妙な本にお金を払って、おつりやレシートを利き手でもらうような人は、「なんか役に立ちそうな本を読んでおけば手軽に知識を得られるだろう」と考える浅はかなタイプでしょう。書店でビジネス書の棚を見て、一番売れていそうな本を買う人だと思います。さらにあなたが飽きっぽく、本を買っただけで満足し、最後までちゃんと読まないことまで私にはわかっています。それでもいいのです。まず本を最初から最後まで順番に読まなくてはならないという、戦前じみた先入観を捨ててください。特にこの本の場合はどこから読んでもいいし、起承転結もなく、真犯人も出てこないから適当に読んでくれればいいとワタナベアニは言っていたそうです。面識はないんですけど。

    最大限の無関係さを込めて 前書きだけ頼まれた人

◎後書き https://note.com/aniwatanabe/n/n00775591f9bb

『ロバート・ツルッパゲとの対話』は2020年一月末に発売。予約受付中です。よろしくお願いいたします。
amazon.co.jp/dp/4908586071

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。