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プロジェクト:写真の部屋(無料記事)

しばらく前から、クルマのテールランプを撮ることに興味を持っていました。あるメーカーのクルマの広告をやっていたときの取材でカーデザイナーと話したことがあります。デザインしていて一番楽しいのはどの部分ですか、と聞くと「テールランプは楽しいですね」と言いました。理由は機能的な制約がなく、どんなカタチをしていてもいいからだそうです。

スーパーカー世代の俺は自分ではクルマを運転しないんですが、街でカッコいいのを見かけるとつい撮ってしまいます。でもそれは「写真」ではなく、見た記録です。どうにかして自分が考えるクルマの格好良さを写真として表現できないかと考えていました。そのときにカーデザイナーの言葉を思い出して、テールランプに焦点を絞った撮り方を始めました。

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最初に思いついたのは、テールランプのフォルムだけに注目させるため、普段見ているのとは90度回転させて印象を変えることでした。しばらくの間はそうやって撮っていたのですが、友人から「何枚も見ていると、目が肥えてくるなあ」というコメントをもらったのです。見る目がある人からの言葉に冷や汗が出ました。タイポロジー的に同じ題材を集めるとそれらしくコンセプチュアルに見える、という域を脱していなかったことに気づきました。

そこで、他の誰でもない自分が撮ったという部分をどう加えるかを考えました。

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そうか。俺はいつも黒バックで人物を撮っているんだから、テールランプも同じにすればいいのだとわかったのです。

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そして、こういうカタチにすることが決まりました。純粋にテールランプのみを取り出すことで意図が伝わりやすくなった気がします。自分が考えていることに他人からの助言をもらうことはほとんどないんですが、あの友人の一言には本当に感謝しています。

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まだ試作品の域を出ませんけど、テールランプという難しいモチーフがどうやって撮れば綺麗に見えるかはわかってきた気がします。外光が反射していること、点灯していること、その光度のバランスが絶妙にとれていて宝石のような輝きが見えることが大事なのです。

さらに、最近新車を買った人から、「自分のクルマのテールランプを撮ってポスターにして欲しい」と頼まれました。驚くべきことにふたりの友人のおかげでこのプロジェクトは進化しています。写真集にするとか、ガラスに印刷するなどまだまだやり方はあると思うんですが、ふたりの友人に感謝です。ひとつのアイデアが進行するのがソーシャルメディア上のリアルタイムで他人からも見えていた、というのはなかなかネット的で面白いなあと感じています。

自慢のクルマを撮って欲しいという要望があることもわかりました。クルマとかバイク好きって、確かにそうだよなあと再確認しました。ご希望の方への詳細は後日お知らせします。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。