時代遅れの水着:博士の普通の愛情
今日は女子会。と言っても参加する私たちの多くは40代後半なので「女子会」という名称を使わないで欲しいのですが、皆はあまり気にしていないようです。
「女性はいつまでも女子なんだから、いいのよ」
という図々しさのほうが名称よりも気になるのです。小学校のママ友として知り合った私たちは、こどもが中学に入ったあともずっと「女子会」を続けていました。以前は塾の話など具体的な議題がありましたが今はそれもないので、ただただおばさんが噂話をする井戸端会議になっています。今日もいつものファミレスに集まって女子会は始まります。
「昼間にはふさわしくない話をするけど、この前、野村さんのすごい話を聞いちゃったんだけど」
井上さんはいつも「ふさわしくない話」ばかりするので、前置きはみんな気にしていません。おそらく男女関係の生々しい話だとわかります。
「野村さんの義理のお母さんがアメリカに移住したらしくて、今までやっていなかったFacebookをやれと言われたんだって」
「ああ。野村さんSNS嫌いだったもんね」
「おばあちゃんが孫の写真を見たいってやつか」
こうして、その場にいないと何を言われるかわかりません。それが怖くて渋々ながらもメンバーたちは女子会に出席しているのでしょう。
「つい最近、子供とプールで写っている写真をアップしたみたいなんだけど、それにコメントがたくさんついていたのよ」
「へえ、そんなどうでもいい写真に。みんなヒマね」
「そのコメントの内容っていうのが驚くんだけど、」
「こちら、ストロベリーパフェです」
店員がいいところで話を途切れさせる。
多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。