見出し画像

ベスト10が言えますか:Anizine

俺が、「ものごころがついた」のは30歳を半分ほど過ぎた頃でした。それは仕事で、という意味ですが、それまでは首もすわっていませんでした。

スポーツに喩えると、ルールをおぼえること、体力をつけたり基礎訓練をすること、試合に出ること、試合で勝てるようになることのように、順を追って成長していきます。これだけは揺らぐことのない事実だと思います。基礎訓練やルールを習得しないまま試合に出てしまい無残な目に遭っている人をたまに見かけますが、自分の親戚でない場合は遠くから傍観することにしています。

ものごころがついたというのは、試合とはどういうもので、勝つというのはどんなことかが実際の経験によってうっすらとわかり始めた頃という意味です。普通、ものごころとはもっと幼い時期のことを言いますけど、それは社会のことがわかったわけではなく、「赤ちゃんではなくなった」というくらいのレベルを指しています。

我々がプロフェッショナルに期待するのは「100戦100勝の結果」です。パソコンを修理に出して、「直りましたが、来週あたりにまた壊れるかもしれません」と言われたらその人を信頼できるでしょうか。「もし食中毒になったらスミマセン」というシェフの料理を食べるでしょうか。出た試合には絶対に勝てなければプロフェッショナルではないのです。観客が満足するという意味と、対戦相手に勝つこととは違うので、比喩を間違った気はしています。

これは仕事場にぶら下がっている平林監督が招待された映画祭のパスの一部です。外国の映画祭はどんなものかを平林監督に聞くと、知らなかったことをたくさん教えてくれます。

画像1

何かを知るためには、数千、数万の経験をしなければいけません。成功するだけではなく、失敗とはこういうことなんだなと理解することも大事です。ここが大事な部分で、失敗は誰でもするし、いくらしてもいいんです。「失敗した」ということさえ理解できていれば。成長しない人は目が悪く、失敗したことや理由に気づかないので何度でも同じ失敗を繰り返します。それを避けるためにはいくつかの方法があります。

ここから先は

683字

Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。