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変化のない変化:Anizine

この時期になると「今年はこんな一年だった」と書きたくなるものですが、2020年に関して言えば、世界中の人々が同じような感想を持つんじゃないでしょうか。

休日に昼寝をしていたつもりが気がついたら夜だった、ような時間経過。

何もしていないのに一年が終わるような焦燥感があります。時間は天体の動きに合わせて同じように過ぎていきますけど、私たちはなすべきことができぬまま、家の中にいました。数年の服役を体験したとすれば、こんな気持ちなのかもしれません。我々は今年の初めから自由を奪われ、囚人じみた灰色の日々を暮らしていたのです。しかしそんな環境下で、来たるべきときのための準備をしていた人もいます。

思い出してください。たとえば「やろうとは思うんだけど、仕事が忙しくて語学なんてやってる時間がないよ」などと言っていた人はいませんか。では、このリモートワークで通勤せず、多くの時間ができたときに語学をやりましたか。おそらくやっていない人が多いと思います。

それは、そもそもが「言い訳」だからです。忙しくてもやる人はやり、やらない人はやりません。時間の進み方がおかしくなったときでも、自分の時間の進め方を知っている人は動揺しなかったのではないでしょうか。俺はフリーランスであり、決められた通勤をしていません。自分の時間は自分で使い方を決めているので、生活には何の変化もありませんでした。

「この時間は休もう、昼まではサボろう、夜は映画を観て、深夜は休憩しよう」などと、タイムスケジュールをキッチリこなす癖がついています。

元々、自由になる時間がたくさんある人は、時間さえあったらあれができる、とは考えないものです。それは詭弁だから。あれだけ忙しいのにどこに時間があるんだろう、と思うほど多くのことをしている人がいます。そういう人は詭弁を弄さない人々です。

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何度も書いたことがありますけど、亡くなった前田健ちゃんからは、一緒に食事をして別れたあとなどにすぐお礼のメールが来ました。忙しくて時間がないのに健ちゃんは返信が早いよね、と言うと「メールはたとえトイレの中でも10秒でできるでしょ。それをしないのはただのサボりですよ」と言っていました。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。