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スランプなどない:Anizine(無料記事)

松村邦洋さんの言葉に「挨拶にスランプなし」というのがあります。とてもいい言葉で、自分だったら前にどんな言葉を置くだろうかをいつも考えています。感謝でもいいし、努力でもいい。綺麗事に聞こえるかもしれませんけど、理想なんだから綺麗な方がいいじゃないですか。

スランプとは、いつもはできていることがなぜかできなくなるという意味なので、本当は元々すごい能力がある人しか使えない言葉なのだと感じます。スランプ時の大谷翔平は、どのプロ野球選手よりも優れている状態でしょう。そう考えるとやる気は削がれますが、我々のような凡人はスランプにさえ辿り着かずコンスタントに凡庸です。

仕事場の壁にずっと貼ってあるこの言葉は自分に対する戒めですが、自分などはそもそも何物でもない。他人より優れたところのない人間は、何かを知った気にならず、ただひたすら努力するしかないのです。

漕ぎ続けなければ倒れてしまう、泳ぎ続けなければ死んでしまう自転車操業の毎日は大変ですが、それもこれも自分に才能がないからです。才能とは天から与えられたものですが、それさえあれば気楽に生きていけるという簡単なものでもありません。素晴らしい体格とセンスを持った超人がさらに超人的な努力を続けるからこそ天災と呼ばれるアスリートは輝くことができるのです。また、せっかく与えられた先天的なアドバンテージを「怠惰」という理由で捨ててしまう勿体ない人もたくさんいます。

ただひとりしかいない自分という存在を価値あるものだと思いたいのが自尊心ですが、それとは別に冷静で客観的な評価は持っていなければなりません。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。