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野生のコインランドリー:写真の部屋

写真を撮り始めたばかりの人から聞いて、ちょっともったいないなあと思うことがあります。それが「撮りたいテーマはこれです」という言葉。

もちろん自分はこんな写真が撮りたい、と決めるのはいいことなのですが、撮りたいものがモチーフの選別になってしまうともったいないという意味です。アートの言葉ではタイポロジーと言いますが、ベッヒャーのように同じようなモノを標本のように集めることで集合の中で類似点や相違点が見られるので、面白い手法です。

私はどこに行っても、コインランドリーを撮ってしまいます。見た目が面白いですし、見知らぬ人々同士が同じ場所で洗濯しているって、何となく動物の行動っぽくて興味深いからです。

しかし、それを目的にしていると「あ、いいコインランドリーがあった」と発見して撮るだけになってしまいます。世界中の数千のコインランドリーを集めた写真集なんていうのがすでにありそうですが、コレクションと表現は違いますから、ただ集めればいいわけではありません。たとえば、このコインランドリーの隣にとても素敵な店があったとして、それを見逃す可能性があるのです。

そうならないためにすべきことは、ただひとつ。

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写真の部屋

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人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。