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友だちは人脈じゃない:Anizine(無料記事)

できるだけ多くの人に読んで欲しいという意味と、無神経な行動をする人ほどリンク先をちゃんと読んでいないという傾向を踏まえて無料記事にします(定期購読メンバーには最後にちょっとだけ追記しておきます)。

いやな話でごめん。

先日、ある外国の友人から「Aniに紹介されたという人からメッセージをもらった」と言われた。俺は紹介したおぼえはない。名前を聞くとメッセージを送ったのは俺の友人ではなく、Facebook上の友だちが、俺と友だちであるらしい。ややこしいというか、それは完全に他人だ。

俺は、友だちの友だちは「友だち」ではないから、他人のウォールに表示されている人を見ても、突然失礼なメッセージを送ったりしないのが常識だと思っている。お互いに興味があればいつか自然に出会うことになるからだ。

その人は自分のプロジェクトに便宜を図ってくれそう(利用価値がありそう)な、まったく面識のない外国の人に誰彼構わず失礼なお願いをし、そこに「Aniからあなたを紹介された」と書いていたらしい。メッセージを受け取った方も、俺の紹介だと言われてはムゲにはできないだろう。

しばらく前にもある場所で俺の友人だと名乗る人が非常識な振る舞いをしたと苦情が来た。俺はその人が誰だかわからない。しかし被害を受けた人は俺の名前を聞いているわけで、俺にクレームが来る。とても迷惑だ。

ビジネス的な用語としての「人脈」という言葉が苦手だ。勝手にそれを押しつけてくる人もいる。俺が何かをしようと思っていると話すと、それに詳しい知り合いがいるから話しておいてあげるなどと言うんだけど、頼んでいない。俺は自分の能力でできるサイズのことしかやりたくないし、得をするために便宜を図って欲しいなどと思ったことがない。それを親切だと思うなら間違っているし、さらに言えばそこに名前を出された「詳しい人」にも、話をしている段階では関わる承諾を取っていない。

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こんなこともあった。ある人が自分の店の何かをデザインしたい、と書いていたのだが、そこに俺と一度か二度会ったことがある程度の人が「だったら私がアニさんに頼んであげるよ」とコメントしていた。俺はそんな仕事を引き受けるとは言っていないし、もしも紹介するのならまずは俺がやると言ってからの話だろう。

チケットぴあに勤めているからチケットを取ってあげるよ、という話とは違うのだ。いや、この場合はそう言っている人がチケットぴあの人じゃないから、「チケットぴあに勤めている知り合いがいるから取ってあげるよ」になるんだろう。これもやっぱり失礼だよな。

俺の友人というのは当たり前だけど俺のことを認めてくれている人なので、俺も相手のことを尊重したい。そこに並んだ顔写真と社会的立場の記載を「使えるカタログ」みたいに扱わないで欲しい。だったら友だちを非表示にすればいいじゃないかと言われるかもしれないが、そんなごく一部の人のためにこちらが不便を強いられるいわれはない。

便宜を図ってもらわなければできないことは自分にはできないんだ、という「限界の感覚」を忘れないで欲しい。俺はその限界を広げようと思って毎日過ごしてきたし、知り合いというフリーパスではあなたのことを紹介しない。本当にその人が誰かに紹介できるほどの人なら黙っていても紹介するし、ギブアンドテイクのような損得の問題ではない。

ここまで読んでくれた人は、おそらくこんな幼稚なことを言う必要がない人だと思う。問題はこれを読まない人で、だからこそ無神経なことを平気でするのだ。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。