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目が殺されるもの:PDLB

ちいさな会社ほど、ブランディングは「Driven by design」でやった方がいいと思っている。

最終的な出口である「デザイン品質」の優劣は、それまでの商品やサービスの開発を大きく左右するが、そこに神経が行き届いている企業はそれほど多くない。小さな会社だけでなく、大企業のデザインレベルも日本は下位だと感じる。

その原因は「見た目を気にするのは中身がない証拠」であるという精神論がまかり通ってきたからではないかとも思う。質実剛健であるべきで、外側を飾るのはまやかしである、といった考え。これはいつ生まれたのだろうか。

そもそも日本は世界でもトップレベルのデザイン先進国であったはず。今だに世界が評価する「日本のデザイン」は江戸やそれ以前のものだったりする。プロダクト、グラフィック、パッケージデザインなど、持っている機能の最終仕上げを怠ったら、すべてが無価値になる。

しかし「この製品は画期的な機能があるから、デザインがどうであろうとも売れる」という乱暴な考えに支配された状況にはよく出くわす。売り手は同時に買い手でもある、とは言わずと知れたことだが、自分が買うものを比較した場合、デザインは度外視して選んでいるのだろうか。

だいたいの場合が詭弁や自己弁護であり、審美眼がない言い訳に使われる。instagramでもそうだが、自宅のインテリアやテーブルの写真にデザインの悪い家具や食器をわざわざ載せる人はいない。それらはすべて見た目のよさで選択されていて、その理由は「私もこんな生活がしたい」という欲求をかき立てるからだ。その点においてソーシャルメディアが果たした役割は大きいと言える。

ある製造メーカーの仕事で、商品開発の研究者と話した。彼は新製品の性能に絶対の自信を持っていたが、試作品のデザインには興味がないことがわかった。説明を聞く限りでは確かに新しくて魅力的な機能がある。しかし目の前にあるそれが「優秀な機能をパッケージングしたデザイン」にはまったく見えなかったのだ。

そこで彼の驚くべき一言を聞いた。

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