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嘘が嫌いな人、ここに眠る。

欧米には「墓碑銘ジョーク」というのがある。その人がどんな生き方をしたかを面白おかしく言うんだけど、そこに「嘘ばかりついていた男、ここに眠る」と書かれるのはイヤだよね、って話です。

ついこの前撮影した写真でまだ発表されていないんですが、ある人がタバコを吸っています。広告に関わる人なら絶対にあり得ないビジュアルだとわかるはず。

発端は俺がある人の写真を個人的に撮ったことなんですが「こういうカンジでポスターにしましょう」と依頼されたのです。写真作品としてはタバコを吸っていてもいいわけなんですが、それが広告という「商業活動」になった瞬間にナシになる。

「あのタバコを吸ってた渋い写真を、タバコなしでお願いします」と、あり得ないことを言うのが広告なのです。タクシードライバーのあのカッコイイ雰囲気をピストルなしでお願いします、みたいな。

それが、クライアントの宣伝担当などが率先して「タバコを吸っている写真」をセレクトしているのです。なんと楽しい人々でしょうか。

今の世の中は匿名の暇人が「けしからん」というクレームにピリピリしている。そこは重要じゃないんだけどと反論したり主張するより前に、だったらやめておこう、となるわけです。

「それやってて面白いか」と思うんですけど、そこに気を配るのが仕事が出来ると思いたい人々がソンタクしているのです。「Jackassって狂ってて最高だよな」なんてスカして言いながら、自分が作るモノには喫煙シーンすら描けない。

吉田茂やヘミングウェイに「撮影の時は葉巻やめて下さい」とは言わなかったはずで、ヘビースモーカーを撮るんだからいいのです。俺は「嘘が嫌いな人、ここに眠る」の人とだけ仕事がしたいっす。

(最終的にタバコなしのポスターになってたらゴメンな!大人のビジネスの世界って、そう簡単じゃないんだよ)

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。

右手で寿司を食うからな。
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写真家・アートディレクター。着ぐるみの中は繊細です。1964年生まれ。「ロバート・ツルッパゲとの対話」 https://www.amazon.co.jp/dp/4908586071/

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