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無目的な旅:Anizine(無料記事)

パスポートの残り期間がなかったので、今年の前半は台北以外どこにも行けませんでした。台湾は帰国日まで有効ならいいので行けたのです。新しいパスポートを受け取ってすぐにソウル行きのチケットを取った次第です。

ソウルに行くのはなんと10年ぶりでした。「なぜソウルなのか」と言われたら、たまたまチケットを取ろうとしたときに目に入ったからで何の目的もありませんでした。仕事の隙間のタイミングを見計らっていたら日程が9日間になっていましたが、これはいつもヨーロッパに行く癖で、最低でもそれくらいはないと面白くないからです。しかし皆に聞くと「ソウルなら4日くらいで十分なんじゃない」と言われました。

そういうものかな、と思いましたが、彼らはキッチリと予定を決め、あそこに行ってあそこで買い物をして、あのレストランで食べる。完璧。というスケジュールで動くからで、何の目的もない私の薄味の旅はそれでいいのです。台北行きのビジネスクラスは箱形ですが、ソウル行きはフラットシェルという昔のスタイルでした。機内食はお寿司でした。

ホテルは最上階の角部屋で、リクエスト通りでした。

DDPという特徴のある建物がすぐ近くにあるおかげで、極端な方向音痴の私も道に迷うことがありませんでした。

ホテルのすぐそばのカフェで毎朝ベーグルを食べるのを日課にしました。どこに行ってもそうですが、同じカフェに通うのはいいものです。三日目くらいから店のお姉さんは黙ってベーグルを出してくれるようになりました。そして写真を一枚撮らせてもらいました。

予定は何もないと思っていたのですが、前日までソウルにいるのですれ違いだねと言っていた平林監督が日程を一日延ばすというので食事をすることになり、監督お薦めの店で鰻を食べました。ウナマニアとしては日本とは違うタイプの鰻を食べて「この味はちょっと自分には合わない」と感じたくなかったのですが、軽やかに超えてきました。抜群に美味しかったです。

ソウルでミュージカル『英雄』の舞台に立っている直人くんから、舞台を観に来ないかと誘われて行ってきました。

そしてまた偶然にもD&DEPARTMENTのソウル店でナガオカケンメイがトークイベントをすると聞き、行ってきました。スタッフのみんながフレンドリーで楽しかったです。韓国語版の本が出版されたタイミングのようですが、その本の中に載っているケンメイのポートレートを撮らせてもらったので、私もまったく関係ないわけでもありませんでした。ケンメイは韓国の人々に大人気でした。

特に韓国とは縁のない魯肉飯とかトンカツなどを食べ、渋谷にいるのとあまり変わらない9日間を過ごしました。最後の日の朝にカフェに行くとお姉さんはウィンクをしてコーヒーをご馳走してくれました。

ソウルの皆さん、また会う日まで。

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。