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バンカーを避ける:Anizine

人々が、これほど哲学的な日々を過ごしたことはないんじゃないかと思う。

俺は今までに一度も、noteに「あのカタカナ3文字」を書いたことがない。書くとサーチされて、記事の上にデザイン的に醜悪な表示が出てしまうからだ。

反対に言えば「現在の状況は」と、内容は同じであっても書き方さえ変えておけば出ないということになる。それほど注意喚起という意味においては無意味だし、プログラムというのは硬直した馬鹿なものだと思っている。

それはさておき、今の「新しい生活」をどう過ごしているかは、人に会うごとに聞いている。我々のように、毎日の出勤もなければ、自分でスケジュールを決められない会議もないフリーランスの人たちからは、以前とそれほど変化が感じられないという意見を多く聞く。家や仕事場でマイペースで作業していた人は、こういう状況のプロなのだ。

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哲学的というのは「では、私は今までなぜ会社に遅刻しないように通勤していたのだろうか」という根本的な懐疑に陥ることで生まれる。今までは何も考えたことがないから、初めて直面することになる。

ある会社に勤めていたシングルマザーがいる。子供が熱を出したなどの理由で早退や欠勤を繰り返していたところ、上司からやんわりと退職をほのめかされたという。「他の人に迷惑がかかるから」と、自分にはまったく責任がないというエクスキューズつきで。その会社を辞めた彼女がこう言った。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。