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我が町出身の有名人:Anizine

どんな場所であっても自分のパフォーマンスを見せられる人に憧れる。たとえばダンサーや歌手。道具を使わないというのは、言い換えれば他人のチカラを一切借りないということにも通じる。そこにギターが一本あれば人を感動させられることも十分羨ましいが、ギターがないときのギタリストは無力だ。

最近、歳を取ってきたからなのか「他人との境界線」がとても気になる。どこまでが自分なのかをいつも確かめていないと落ち着かないのだ。境界線とは、独力で他人に影響を与えられる範囲のことで、だからダンサーや歌手はすごい。踊り出し、歌い出せばどんな場所でもステージになるし、たったひとりで世界を作れる。そこがカッコいい。

俺なんかはデジカメを充電し忘れただけで簡単に無力になる。何もできないのだ。道具もそうだが、精神的にも他人の権威を借りている人は多い。

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ある人が自分の血筋や著名な友人のことを長々と語っていた。「確かにご先祖や友だちは偉いのかもしれないが、君を偉く感じたことは一度もない」と、その場にいる全員が思っていたはずだ。いつも思うことだが、自分のことを説明するときに他人や自分以外の固有名詞を全部省いてみて欲しい。そこに残ったのがその人だ。有名な誰かと有名な店に行って稀少な部位の肉を食べた話なら、固有名詞を取り除くと「お肉食べたんですね」ということになる。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。