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曇りの日に撮る:写真の部屋(無料記事)

幡野さんがTwitterで「晴れの日が好きで、曇りの日は苦手」と書いていてちょっと驚きました。自分の方法しか知らないので、人の話を聞くと学ぶべきことは多いな、と感じます。

自分で撮りたい気分になるのは「曇りの日一択」です。スタジオで言えば光が回っている(満遍なく均等に当たっている)状態の自然光で撮りたい。強いコントラストや影が苦手なのかもしれません。だからロケ先でクライアントが、「ああ、曇ってきちゃいましたね」と言ってもこちらとしては上機嫌なのです。

撮影用語に「ワンパラ」という言葉があります。薄い雲が一枚だけかかっている状態のことで、これがベストです。太陽にディフューザーを軽くかませた感じでしょうか。明るいのに影は柔らかい状態で撮り、RAW現像時にややコントラストを上げると自分好みになります。デジタルはフィルム時代のコントラストとはまったく別物で、ラチチュードの考え方が違うせいもあります。

こういう
こういう


弱め

写っているモノの細部まで見たいときにシャドウが潰れすぎていると存在感はダイナミックになるんですが、絵としてはやや劇的になってしまい「気恥ずかしい」のです。ですからこういう「回っている」曇りの日に撮りたくなるのです。

強い 恥ずかしい

ちなみに無理してこういうのを面白がって撮ることもあるんですが、「強いなあ」と感じてしまうのです。ですからどうしてもアメリカじゃなくてヨーロッパに行くことが多くなるんですね。ニューヨークなどはあれだけの大都会なのに細長いマンハッタンが両側を川に挟まれているので風があって雲がはらわれ、西海岸と変わらない真っ青な空を見ることがよくあります。

弱い
むちゃ弱い
アイスランドは白夜で最高

コントラストの好みは撮る人の性格も表している気がして、白黒ハッキリつけたいとか、メリハリを重視する明朗快活な人はコントラストが高い印象があります。俺はジトッとした性格なのでコントラストは低めが好みですね。ほっとけ。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。