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ベスト16の人々:Anizine

最近あまり聞かれなくなった言葉に「ワナビー」というのがあります。英語だと「want to be」で、何者かになりたいがなれていない人々のことを、やや揶揄した表現でした。もしかしたら今はワナビーがマジョリティになってしまったからかもしれません。どんなことでもできそうだと思い込まされ、でもできない。挑戦している間は何かをしているように思えるのですが、できなかったことはゼロです。

そう言ってしまうと冷たいようですが、何かを成し遂げた人と「やろうと思っていた人」を同列に語ることはできません。私はそういう人を心の中で「ベスト16」と呼んでいます。「昔は野球をやっていて鳥取県大会のベスト16まで行ったんだよなあ」という、あの人たちです。彼らはメジャーリーグなどを見て、「俺たちの頃にメジャーという選択肢があったら何かが違っていたかもな」などと語るのです。スナックで。

おそらく何も変わらなかったのではないかと思います。甲子園で優勝したドラフト1位の選手でさえ、一度も一軍に上がれずに引退していくことだってあるのです。Youtuberなどの昔は存在しなかった就業形態が生まれたことで、自分にも爆発的な何かが起きるのではないかという期待を持たせるビジネスもできました。

内容が厳しいので、可愛い写真を添えて

この場で言うのは気が引けますけれど、noteがスローガンに掲げる、「noteは自由な創作がおこなえるプラットフォームです。」といった、誰でもクリエイターになれるという幻想は根強くあります。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。