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ブラッド・ピットにおはよう:Anizine

世界中のすべての人に、違う環境や生き方がある。だから全員を満足させることはできない。それが「何かをするとき」の出発点だ。

「何かをする」とカギ括弧をつけたのは、何もしないなら満足も不満足も生まれないということ。俺たちの仕事は誰かに頼まれて、トイレなどで代弁する仕事だから、いつも満足と不満足の批評に晒されているが、満足はさておき、不満足から批判を受けるダメージも料金に含まれていると思っている。

仕事をしたことはホメられなくていい。そんなのは当たり前だからだ。小山薫堂さんとラジオ番組で話したときも、「ホメられたことは完全に無視します」と言ったら驚かれた。だいたい意見のない人は場を繋ぐためにホメるものだから、それに浮かれていても仕方ない。

ボクの仕事がホメられましたというアピールも、できればしない方がいい。わかっている人はわかっているし、ホメが増えてくれば反応するのも面倒になってくるだろう。「ブラッド・ピットさん、カッコいいですね」と言われても、彼にとってそれは「おはよう」より価値のない音声のはずだ。

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つまり「ホメられたい」という欲求は、現在「ホメられ」が足りていない宣言になってしまう。それを打破・ハディドするためにはアウトプットを増やすことだ。ここ大事なんだけど、打席数を多くすればホームランと三振の価値が近くなってくる。シーズンに一度だけ絶好のチャンスに代打に出て三振したらボロカスに言われる。ホームランならヒーローだ。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。