見出し画像

300人理論:Anizine

日本のプロ野球(NPB)で一軍の試合に出られる選手は25人。12チームあるので、合計すると300人。これが「一軍選手」である。

何となくの印象ではあるんだけど、職種においての一軍選手というのはそれくらいの数なんじゃないかと感じている。つまり、画家でもギタリストでもシェフでも「トップクラスは300人くらいなのでは」ということだ。

もちろん根拠はないけど、それはもしかして買い手の問題なのかもしれないと思うこともある。テレビタレントで考えると、放送局と番組の総数は確定しているからMCの人数は決まってくるし、出演するゲストの数も同様だ。突然それが5倍になったりはしない。だから人気がなくなれば退場するし、その空席に新しい人が座ることになる。

誰でも自分が属している業界のことしかわからないものだけど、ある程度の一般性を持った業種の場合、300人の一軍がいると仮定してみる。職種をどう分けるかも難しい。たとえば医師なら全体で名医が300人いるのか、外科医や精神科医に300人ずついるのかはわからない。

我々のように発注を受けるフリーランスで考えると、まずは「それで生活できるか」が最低ラインだ。俺の友人には芸人が多いが、それこそ野球選手と同じくらいの幅がある。それなりに知られたテレビ番組で見かけ、名前も知られているような人がアルバイトをしていることもある反面、大企業の経営者を遙かに超える年収の人もいるだろう。

テレビドラマでも映画でもCMでも「今回こういう仕事があるんですが、誰にしましょうか」というキャスティング会議がある。その時に出席しているスタッフの誰も名前を知らない人は当然、除外される。だから、まずはそこに名前があがる人にならなければいけない。その後で、この人は女子高生に人気がある、高齢者に好かれている、このシナリオに適している、などのセレクトが始まる。ここまでの人が二軍も含めた「プロ野球選手」なのかもしれない。

ここから先は

714字 / 1画像

Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。