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バーベキューの作法。岸田奈美さん

奈美さんは本当に無邪気で面白いなあ。

ここには名の知れた人と、我々のような一般人が知り合うときのヒントがたくさん隠されている。

https://note.com/namirairo/n/n4e42f2f6840e

まず、自分が何かを発信したときに、それに対して「名の知れた人」が反応する。想像力を発揮しなくちゃいけないのは、テレビに出る人もテレビを見て笑うし、本を書く人も他人が書いた本を読んで泣くことがあるということ。

つまり、与えるだけの人、というのはいなくて、誰もが発信者であり受信者であるということだ。そこに「一般人としての自分」が固定された上下関係にこだわってしまうと、彼らが受け手として得た純粋な感情を台無しにしてしまう。「有名な人に褒められた」というやつだ。

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奈美さん家族の話は誰が読んでも、愛情が溢れていて面白い。それはすでにコンテンツとして一級品なのだから、ある企業のトップが反応しようが、ジャスティンがビーバーしようが、コンテンツ発信者である奈美さんの方が「与える立場」なのだ。そこで堂々とした謙虚な振る舞いがあれば、対等につきあえる知り合いはこれからどんどん増えていくと思う。

俺はアイドルとか歌手などにまったく興味がない青春時代を送ったので、いわゆる芸能界への関心がゼロだった。広告の仕事を始めたとき、同じスタジオに誰もが会いたがる女優やミュージシャンがいても何とも思わなかったのはそこに原因がある。

「相手は仕事でここに来ている。俺も仕事で来ている。立場は同じじゃん」と思っていた。20代前半の林家ペーペーなのに偉そうだったけど、仕事としては当然のことだ。現場にはときどき「感性の田舎者」と呼ばれる人たちもいた。芸能人に会うことの感激を隠せない純朴な人々。「昔から大ファンなんです、サインください」などと言ったアシスタントが、撮影のあとで先輩に怒られているのも見た。彼らにしてみれば、自分にとって神様みたいな人が目の前にいるんだから仕方ないけど、その時にすべきことはただひとつ。

「その神様の視野に、自分が入っているかを認識する」ことだ。

名の知れた人は、朝から晩まで、常に「ファンなんです〜」という攻撃に晒されている。だからそういう雑音のような声を発する人は視野に入らないだろう。ファンであることを伝えたい自分の欲求ではなく、毎日そればかり言われる側の気持ちを察することができれば、相手は仕事の現場でもレストランでも、居心地よくいられる。

奈美さんの書いていた、「前澤さんに会ったら渡してくれ」と言った、まったくの部外者は、他人の尻馬に乗って何かが起きると思っている一番ダメなタイプだ。そこに参加資格はない。

人は人を選別している。同じ時間があるなら興味がある人と会いたい。自分は与えたいし、相手からも与えられたい。そこに手ぶらの人が一方的に「ファンなんです」というのが暴力だとわからないから無視される。

以前も書いたことがあるけど、手ぶらでバーベキューに行ってはいけない。自分が肉を持ち、誰かが酒を持ってくることで、その集まりはバーベキューになる。誰かがすでにやっているところに「お腹が空いているんです(ファンなんです)」と食べに来るのはあり得ない。

損得の話ではないけど、奈美さんは「A5ランクの黒毛和牛」を持っていることが知られたので、大手を振って誰のバーベキューにも参加できるはずだ。すべきことは、有名な人のバーベキュー会場を探し当てることじゃなく、自分が、他人が喜ぶ具材を持っているのかを具材的に考えることだ。

ちなみに、俺は撮影の時に「有名な自分をチヤホヤしてほしいタイプ」のアイドルに対して冷静な態度をとっていて、「あいつ、ムカつく」と言われたことがある。何事にも完璧な正解はないのだということを知った。テヘ。

◎写真は、関係ないけど「VVQ」のトンボちゃんです。


多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。