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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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2022年12月の記事一覧

写真は肺だ:写真の部屋

こどもの頃、当時は12色くらいがスタンダードだったのだが、36色の色鉛筆を買ってもらったことがある。それで絵が巧くなりはしなかったけど、使える色がたくさんあるという「自由」を知った。 アートというと大げさだけど、表現する、創造することは生きていくことと直接の関係がない。タワー・レコードには悪いけど、音楽がなくても死ぬわけじゃない。しかし死なないからこそ、生きていくためには音楽が必要だということが逆説的にわかるのだ。毎日どうでもいい写真を撮っている自分は写真雑誌に『カメラがな

タイミング:写真の部屋

ついさっき、タクシーで仕事場に戻るとき、窓から写真を撮っていました。いい写真が撮りたいというような目的もないのですが、つねに撮っています。屈伸運動のようなものです。 この写真を見てください。 どうでもいい写真です。これはたまたま隣に停まった大型車が視界を遮っていて面白かったので撮りました。おかしな趣味ですけど視界を遮られるのが好きなんですよね。メインの被写体の前に何か無駄なモノがあると嘘っぽくなくなります。テレビドラマで家族が食事をしているのにカメラ側には誰も座っていない

コロンブスの卵:写真の部屋

あるカフェギャラリーに、トスカーナかどこかの風景写真が飾られていた。カップルの女の子の方が「わー、いい写真」と言うと、男の方が「そんなの、そこに行けば誰でも撮れるじゃん」とつまらなそうな顔で言う。 この一瞬の会話に、俺のセガサターンクラスのCPUが動き出した。

6秒美人:写真の部屋

映画やCMに出てくる女優、モデルはどうして美しいのか、一緒に仕事をしたことがない人はわからないと思います。ですから簡単に説明しますね。元々美しいというのは最低条件なのでほっときますよ。 まず、女優さんがCMや映画などの動画を撮るとき、多くの場合は「6秒程度」しか写りません。例外として長回しと呼ばれる長いカットもありますけど、平均するとそれくらいで一度カメラが止まるのです。次にアングルを変えてカメラが回る前にヘアメイクが来て、髪の毛一本さえ顔にかからないように整え、喋った後に