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Anizine

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。
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#小説

クレームポイント:Anizine

ノリオとマサルは渋谷を歩いていた。 「お腹空いたね。吉野家にでも行くか」 「そうしようか」 109近くの吉野家に入っていくふたり。若い外国人店員がノリオとマサルの方に近づいてくる。 「申し訳ありませんが、ご遠慮願えますか」 どういうことだかわからない。見たところあまり客は多くなく、満席という意味でもなさそうだ。 「ご遠慮って、どういうこと」 「お客様がご自分でわかってらっしゃると思うんですが」 「何のことだろう。この店員、日本語わかってるのかな」 奥から店長らしき

小説を書く:Anizine(無料記事)

結論から言うと、小説を書き始めています。 解説でも説教でもなく、あの小さい方のヤツです。小説。 『ロバート・ツルッパゲとの対話』の中に「本を出したい」と頑張っている人はたくさんいると思うけど、出した人しか出ていない、という意味のことを書きました。ちゃんと読んでいないので細部はうろ覚えですけど。 ソーシャルメディアでよくわかったのは「人は願望を多く語る」ということです。ああなりたい、こうしたい、そればかり言う。言ってしまうと、もうやり終えた気になるんです。 映画が公開さ

センスの悪いワンピース:Anizine

夜中の2時頃に電話かかかってきた。知らない番号だ。相手は名前を名乗らず、いきなりこんなことを言った。 「なんで、あんなことをブログに書いたんですか」 誰なのか、何のことか、さっぱりわからなかったが、怒らせると面倒なので冷静に話を聞くことにした。その女性は僕がブログに書いた内容のことで怒っているのだという。人違いではないかとたずねてみたが、書かれている内容は僕のブログに間違いなかった。 いつも配達に来る30代前半くらいの宅配便の女性がいた。実はその女性配達員の「距離の取り

ふたつの部屋:Anizine

数年前にクアラルンプールに遊びに行った。 ペトロナスツインタワーは、行ったことがない人でも一度は写真などで見たことがあると思う。452m、88階建ての双子ビルで、タワー1の建設を日本のハザマ、タワー2を韓国のサムスン物産建設部門が手がけた。 夜になると柔らかく幻想的なライティングで、ビルの優雅な存在感が際立つ。建物の照明設計としては世界でもトップクラスの美しさだと思う。そのタワーを見上げた時、古い記憶がよみがえった。ペトロナスタワーとは比べものにならないが、若い頃に行った

喫茶店の男。前編

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鹿児島に生まれて。

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聞こえてくるギター。

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電話。

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足音。

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感動しそうでそうでもない話。

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