麻婆丼の響子さん:博士の普通の愛情
僕はコンビニでドリアを買った。隣のレジに並んでいたのはどこかで見たことがある女性だった。
夜の2時。てきぱきと仕事をこなすシャリマというネパール人の店員は、ふたつの弁当をレンジで温めていた。コンビニの客は僕らふたりだけ、とても静かだ。レンジがチンと大きな音を立て、僕らの弁当が手際よく渡される。店を出ると、その女性は僕と同じ方に歩いてくる。
そうか。うちのオフィスビルで働いている人だ。何度かエレベーターで一緒になったことがある。彼女のフロアは確か編集プロダクションで、僕の事