霊媒師:博士の普通の愛情
友人とお茶をしようと約束していた。
僕が先に店についてアイスコーヒーを頼んで待っていると、彼は誰かを連れてやってきた。僕は知らない人を勝手に連れてこられることがあまり好きじゃない。その人と話したいかどうかはわからないからだ。
「信夫、彼女は俺の友だちで如月さん。霊媒師をやってるんだ」
「霊媒師、ですか」
「はい、だいたいみんなそんな反応なので、慣れてますけど」
20代後半に見えるその女性はとても落ち着いていた。僕はスピリチャルな話をする人が苦手なので、まあまあ魅力的な容姿さえもマイナスに感じる。
「彼女は、すげえカジュアルに降霊ができるんだよ」
「そうか。僕はそういうの、よくわからないけど」
「誰か、話したい人がいたら降ろしますよ」
まるでトラックから荷物でも降ろすような言い方だ。自信満々じゃないか。そんなに簡単に、昼間のカフェで降霊なんかできるものなんだろうか。くだらない。
「だったら、4年前に亡くなった母と話がしたいんですけど」
「いいですよ」
「おお、やってもらえよ」
如月さんは、目をつぶって数秒でこう言った。
「ノブ、元気でやってますか。あなたのことがいつも心配です」
多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。