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アニメーターを安く仕入れて、作品を高く売るのが商売の基本

ビジネスの基本は「安く仕入れて高く売る」なのは間違いありません。

では、これはアニメ業界に例えるとどうなるでしょうか?

日本のアニメ業界は基本的に労働主役でのビジネスモデルです。つまり安く仕入れると言う事は、アニメーターを安く雇用するということなのではないでしょうか。そう考えると、アニメーターの方々の賃金が中々上がらないのは当然かもしれません。なぜなら、アニメーターの賃金が上がってしまうと、安く仕入れることができないからです。

アニメーターを安く仕入れることで出来上がった作品は、様々な名目でブランディングを重ねることで、収入につなげていきます。『鬼滅の刃』という作品も『鬼滅の刃』とかジャンプ作品とかLiSAとかによるブランディングによって成り立っているビジネスです。このように付加価値をつけていくことが、製作委員会の仕事だと言ってしまっていいでしょう。

これがアニメビジネスの基本なのですが、ここで問題なのは、経営者としては、アニメーターの賃金を上げるインセンティブがないということです。仕入れを高くすると利益が減りますから。

そのため、ビジネス的動機だけを見ると、経営者がアニメーターの賃金を上げる意味はないため、本来であればアニメーターの方から賃金交渉する必要があるのですが、人材の流動性が高いために、契約金額を保護できません。

そのうえ、アニメーターの賃金が安いために、アニメ制作のDXを促すインセンティブも弱まり、結果的に現代もアニメビジネスはイノベーションが起こっていません。

実のところ、Flashや3DCGはアニメ制作を抜本的に変えた技術なのですが、残念ながら日本ではまだ一般化しておらず、この領域に関しては海外がリードしています。

「日本のアニメは文化だ!」とはよく言われますが、実際はお金がなければ、その文化を持続させることはできません。資本主義の時代に生きている以上、ビジネスをもっと考える必要があります。

そして今のアニメ業界は、売上を最大化させることに目を向けているようですが、それだけでなく、エンジニア目線で「ワークフローを抜本的に変えられるかどうか」を真剣に検討する必要があると思われます。

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