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『話の話』を記述する

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30数分の短編アニメ『話の話』(ユーリー・ノルシュテイン監督)の画面を、ひたすら・全編、記述します。
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記事一覧

『話の話』を記述する(その24~テーブルクロス)

 さて閑話が長くなった。もとの『全画面分析の記述』にもどろう。  画面の続きを見ていこう…

『話の話』を記述する(その23~このつづきものの基礎的立ち位置について3)

あらすじで理解する……それで何がわかるだろう? クレア・キッソン『「話の話」の話』から、…

『話の話』を記述する(その22~このつづきものの基礎的な立ち位置について2)

 しかしそれにしても、アニメを「ジャンルとして固有な・視覚的な表現」を判別する手段・アプ…

『話の話』を記述する(その21~このつづきものの基礎的な立ち位置について1)

 このつづきものは、ユーリー・ノルシュテインのアニメ作品『話の話』本編を頭から順々に見な…

『話の話』を記述する(その20~ちょっと能書き)

 切り絵アニメという平面的な素材で表現を開拓してきたこの作者ノルシュテインにとって、絵が…

『話の話』を記述する(その19~「永遠」のまとめ)

「永遠」の一回目のシーンはここで終わる。ここまで画面に横溢していた表現の膨大さに記述が追…

『話の話』を記述する(その18~縄跳びと母娘)

 カット切り替わって、少し寄った距離で母親と乳母車。  タライに手を入れて洗濯していた母親は片手を額にやって汗をぬぐい、そのままその手を右横の乳母車の取っ手をつかみ、乳母車を揺すって赤ん坊をあやす。  この間、乳母車は手足をばたつかせる赤ん坊の動きによって乳母車自体が揺れている。  母親があやすように乳母車を揺らすのだが、そのときの乳母車の、歪んだ輪っかが歪んだままに少し回転する。  決して適当に描いたために歪んだ輪になっているわけではなさそうだ。  適当に描いた・落書き感

『話の話』を記述する(その17~詩人)

 テーブルの左端には詩人が椅子にまたがっていて、椅子の背もたれに両腕を抱き込み、その両腕…

『話の話』を記述する(No.16~不意の猫)

 それでは寝そべった嘘の猫のことに戻ろう。  これは論者だけが騙されたのだろうか、カメラ…

『話の話』を記述する(15~嘘の猫)

 さて大気の層2の何気なくて・不可思議な印象に一瞬、目を瞠らされている間にも、カメラは移…

『話の話』を記述する(14~反リアリズムなマルチプレーンの使用)

 ふたたび『話の話』の画面そのものの記述から外れれば、この漸近する大気が見る者に与える効…

『話の話』を記述する(13~2層の大気)

 カメラは彼らの縄跳びの様子にズームしながら、ある瞬間、ふいっと左方向に視点を移していく…

『話の話』を記述する(12~「永遠」またはマルチプレーン)

 中央に少女が縄を跳び、途中で左向きから右向きに姿勢を変える。  縄の左端はミノタウロス…

『話の話』を記述する(その11~「永遠」パートへ)

 光の充満からふわっと立ちのぼるような印象で、白っぽい画面の中、少女が巨大な牛(ミノタウロス)の手を借りて縄跳びする姿が現れる。  冒頭の乳児の姿が暗めの色調のエッチングだとすると、縄跳びする彼らは白く・明るい色調のエッチングというコントラストが際立つ。  背景がクリーム色で、そこに簡略に描かれた人物やモノも白の下地が目立つ。  背景の(これは海だろうか大気なのだろうか?)クリーム色に対し、人物たちはより白い下地で出来ている。  先の屋敷の光にズームアップする速度とオーバーラ