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「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」アニメ版 第10話感想

少し遅くなりましたが、アニメ「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」第10話の感想です。

「母の日」の話題から、いつの間にか「なぜ周が『ここ』で一人暮らしをしているのか」という話題になり、周は過去に受けた傷について初めて真昼に、もっと正確にいえば舞台となっている場所で一人暮らしをしている理由について語りました。

セリフの通りに聴いていけば、特にわかりにくいお話ではないのですが、重要な、そして大切なことをここで真昼は周に伝えます。

「あなたの悲しみはあなたのもの」

「私の傷とあなたの傷は比べられないもの」という彼女の捉え方は、とても大切なことです。傷ついたのであればそれは傷ですし、その深さは比較するものではない、比較できないと言い切る彼女の言葉は、身に沁みます。

「お隣の天使様」ラジオでも言及されていましたが、ここのセリフはそのまま様々な場面で応用できる、特に話を聴くときに重要になってくる心構えであるかと存じます。

本当はこの場面、たっぷり時間を使って描いて欲しかったと感じます。小説には「時間にして数十分」(十数分の間違いではないかという気がしなくもありません)とあるくらいですから、ここで「はい30分経ちました!」という切り替えの仕方をせず、せめてあと1分でも、いや30秒くらいでもいいのでじっくり間を取って欲しかったなぁと個人的には思います。

まあ、20分そこそこしか尺がないことはわかっていますし、「天使のたまご」のとあるカットのように150秒(2分半)ほとんど動かないという描写は無理だということは分かってはいるのです。贅沢な間の取り方はそうそうできないものです。

「死ぬほど気まずい」アレに関しては、多くの方が触れていることですので、ここでは割愛します。男のコにはよくある話でもありますので、本当に申し訳ないと思いつつ、女性陣の理解があるとありがたいのです。

「ダメにされる」?

この第10話は、小説での3巻と4巻をまたぐようにしてエピソードが作られており、その意味では「句跨がり」あるいは「シンコペーション」のような印象があります。その一方で、小説でのエピソードの「またぎ方」が、次の巻へ強く引きずるやり方であったことも明らかになるものでした。

このお話では、これまでになく積極的に真昼が周に対して甘えさせよう、惹き付けようとしてくる姿勢が明らかにされました。周は「これはダメにされる」とモノローグでこぼしていますが、真昼にとってはある種「もう待っていられない」ような気分なのかもしれない、と感じています。

どちらが「自分の沼」に相手を引きずり込もうとしているのかといえば、周の側からすれば真昼が「真昼の沼」に引きずり込もうとしているように見えていますが、真昼からすれば周が「息をするように好意を向けてくる」とか「10秒ごとにプロポーズしてくる」わけで、周は本人が気付かないうちに「周の沼」に真昼を引きずり込もうとしている、少なくとも真昼はそう感じているのではないかな、と思うのです。

確かに「相手がいなければダメになる」状態にはなっていると思いますが、端から見ていると実は「ダメになっていく2人」以上に「積極的になっていく」また「自然体になっていく」2人を発見できます。そのあたりが2人の成長を見ているようで、微笑ましくなってきます。

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