佐分利敏晴
アニメーション映画「リズと青い鳥」の感想と解題をまとめました。
ひとしきりアニメ語りをし終えたあとでの自己紹介です。自分のことを他の方に知ってもらうために紹介文を書く、ということになると、ほとんどやったことがありません。それでもやっておいた方がいいと判断して、私が私を紹介する文章を書かせていただきます。 私のことを一言で紹介するなら、次のようになります。 肩書きをたくさん持っている、専門に学んできたことがたくさんある障害者 一言でいうとしてもここまで長くなるほど、私は複雑な背景を持っています。 障害者、有り体に言えば統合失調症と解離性
令和六年十一月某日。 どうせネタバレ半分ですんでここに「僕の心のヤバいやつ」11巻の初見感想書きますね。 前半→なぜ市川が「陰キャ・モテない」認定なのか分からん、むしろ自称? 中盤(きっかけあり)→そう、そうだよなやっぱりこうなるよな市川 終盤→諏訪さん若い!そして老獪!大人はこうでなくっちゃね! で、小説「義妹生活」12巻の感想というか、ここまでの積み重ねもあって考えたことを書いていきます。 題して 「恋愛結婚症候群」とは『夫婦になる二人は恋人同士でなければならない
ネタバレ全開の「義妹生活」12巻の解題ですが、その前にワンクッション入れましょう。 映画「きみの色」作永きみ役の声の出演、高石あかりさんが、2025年秋からの連続テレビ小説「ばけばけ」の主役、ヒロインを演じると決まったとのこと。 おめでとうございます。 「安心、安全」な場所まず、「きみの色」でも話題にした「安心、安全な場所」があるかどうかという話です。 令和6年10月27日に行われた選挙においても、この「安全安心な暮らしを約束する」という文言を叫んでいた候補者もいたよ
小説「義妹生活」第12巻の感想・解題・考察の続きです。 ネタバレ全開です、読むとき注意!! 渋谷区の「郷土資料館」、実在します。 少し名前が違っていますから、あくまで「参考にした施設」でしょう。 見学観覧時はルールとマナーを守りましょう。 渋谷界隈から近い温泉について 近所の温泉地として熱海が選ばれていますが、私は箱根や鶴巻温泉あたりを思い浮かべました。新宿から小田急線・箱根登山線で直接つながっている温泉地ですので、そちらの方が行きやすいかと。 熱海、伊東も確かに首都圏
小説「義妹生活」最新12巻の感想、解題、考察です。 アニメドラマ「義妹生活」の放映が一区切りした後で発刊される最初の小説「義妹生活」ということで、注目されている方も多いかも知れません。 宣伝などで小出しにされる情報を見て、色々と考えてしまう方も多かったかと思います。かく言う私もそうで、一応何が起きてもいいように心の準備をして、電子版を発売日の0時過ぎに購入し、一気に読みました。 その結果、想像を越えて実在感のある、現実的な出来事に擬似遭遇することになりました。 沙季に起こっ
「あるく」の分析、訂正と補足 ライブ曲「あるく」の分析が、特にキリスト教要素について比較的弱かったので、補足します。 歌詞の部分は音楽担当の牛尾憲輔氏によれば、「プライベートなもの」で、きみちゃんの個人的な祈りが中心と思われ、歌詞には強くキリスト教(カトリック)の影響が見られませんでした。 ではどこにキリスト教的要素が埋め込まれたのでしょうか。 映画でもここに関するセリフはありますが、小説にはさらに詳しくこう綴られています。 ここでいう「アヴェ・マリア」はグレゴリオ聖歌の
この作品では、あからさまにキリスト教との関連が描かれていきます。そういったことについて、宗教者の誰かが言及・解説してくれるのではと期待してネットで検索しても、全く引っかかりません。どうやら私が書くしかないようだと思い、この話題を取り上げます。他にもっと適任の方がいらっしゃると思うのですが。 トツ子は「祈りの効用」と「主の平和」を知っているここから小説の記述と、それがアニメーションになった場面を思い出しつつ記述します。最初はトツ子が祈っている場面。 この直前の文章で「祈りを
前回の記事は小説について未読でしたが、この記事は小説読了後に書いています。ですので、この記事は小説での言及を引きつつ、傾聴・観察・分析し、解題することを狙います。 多少難しい話がありますが、ご容赦ください。 「不変項」と「気色(けしき)」と「名付けられていないこころの動き」まず、「名付けられていないこころの動き」について語ろうかと想います。 小説では、前回の記事で述べたきみの「名付けられていない感情」について、このように書いています。 言葉にすれば単語一つ、あるいは漢字一
共感よりも「共感的理解」を山田尚子監督・吉田玲子脚本・牛尾憲輔音楽の映画「きみの色」について、感想、というより、分析じみたことについて文をしたためようとしています。 しかし、私はまだ本作を2回しか鑑賞しておらず、きちんと動きや音楽について分析ができていないのではないか、とも思っております。 この作品は、「聲の形」や「リズと青い鳥」同様に、どちらかと言えば観客に「共感」を求めていないように思います。自分の感情を巻き込み自分の全てで登場人物に感情移入することを、決して強制してい
TVアニメドラマ「義妹生活」の第6話「酢豚と雨」について、書こうと思っていたことがある。 一つは、アニメーション版では付け加えられた環境の変化について。原作小説にはない、ゲリラ豪雨が降るという要素が加わった。それによって、悠太の焦りがより迫ってくる感じがあった。 次に、エレベーターの中で、帰ろうとする沙季と迎えに行こうとした悠太が鉢合わせしてしまうシーンについての話である。 この場面の作り方に、少し驚いた。 「イマジナリーラインを越えてないか?」と。 実際のカット(画面
アニメドラマ「義妹生活」第5話「レイトショーとガチなやつ」では、およそ20分ある物語のうちおよそ6分をレターボックスサイズの劇中映画に当てている。しかもその「作品」に独自のスタッフとキャストが準備されている。こういった「贅沢な作り」が、作品に「意味的な余裕」を生んでいると思う。 「意味的な余裕」は「描かれないこと」を作り、「描かれないこと」があることを提示することによって「隠された意味」があることを知覚させることに成功しているように感じられる。結果それはこのアニメドラマに「
「義妹生活」というアニメを見ている。ここでも取り上げたことがある、同名の小説をアニメにしたものだ。Youtubeでの3話までの先行配信からずっとリアルタイムで追い続けているが、漸くこの作品の「ジャンル」がわかった気がする。 アニメ作品「義妹生活」は、「アニメドラマ」である。 これが私が至った結論である。 「アニメドラマ」と呼べる作品としてどのようなものがあるかを考えてみると、これがなかなか難しい。もっとじっくり考えてから、これについては考えてみたい。 画面の特徴1.固定
今回は「逆境的小児期体験(Adverse Childhood Experiences : ACEs)」と、特に「義妹生活9巻、10巻」についてのお話です。 逆境的小児期体験とは、以下のように説明されます。 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2019/192011/201907005B_upload/201907005B0011.pdf こう書くと「トラウマのことじゃね?」と思う方も多いでしょう。実際、これらは小児期に
アニメ「僕の心のヤバイやつ」を初めて見ました。第2期の最初からということでかなり遅めですが、「乗り遅れ感」は少ししかありません。というのは、これを見てから原作のマンガを一気読みしてしまったからだと思います。 アニメの「僕の心のヤバイやつ」は、様々な点ですぐれているな、と感じる作品になっているかと思います。 「ゆっくり歩いた」がそのまま「ゆっくり歩く場面」として実現できていること。 キャラクターのかたちとこころの造形。 雰囲気にぴたりとはまる牛尾憲輔氏の音楽。 総合的な質の良
12月中に1本記事を作ると、毎月更新が継続するということで、今さらながらこの話題に触れる。小説版「義妹生活」8巻の表紙の特徴と、9巻の表紙の特徴について語らせていただく。 1〜7巻の表紙はどうなっているか 小説「義妹生活」の表紙は、ずっと主人公の二人の生活の一部を切り取ってきた。そして私が注目しているのは、二人の視線である。この「何気ない」一場面は、それぞれの巻の物語を象徴しているのではないか。それも、位置関係というよりも、二人の視線の絡まりあい方が非常に特徴的だ。 1
9話の戦闘は神作画なのか 気になったことではあったので、今更だがアニメ版「葬送のフリーレン」第9話の戦闘の場面の話をしたい。素晴らしい作画であることは確かだが、「神作画」と絶賛されるほどではなかったと、個人的にはそう感じている。 その手前の場面、シュタルクがジャケットを着る場面も確かに素晴らしい動きの作成が成されていたが、その場面も「動きのデザインとして優れている」と同時に「動きを見せるための技術が十全に用いられている」とは言えるものの、そこまっで褒めるほどか、と問われれ