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参考にならない 我が家のオランダ移住 4

さて、子ども達は夏休みに突入した。オランダの夏休みは6週間なので日本と同じくらいの長さなのだが、地域によって休みのタイミングが少しずつずれている。そして毎年そのタイミングが変わる。このシステムは私は結構好きだ。全国一斉に夏休みとなるより少しずつ分散した方が混雑も少なくなるし、良いと思う。では、2015年へ時間を巻き戻す。

仕事探し

夫は最初、Rotterdam で仕事を探していた。しかし9年前にはあまり日本食レストランなどもなく、仕事はさっぱり見つからなかった。すぐに切り替えて Amsterdam で探し始めた。日本人でさえこの特例のことを知らないので、オランダ人が知るわけもない。何か証拠となる書類はないのか? と言われたりしてなかなか仕事は見つからなかったそうだ。そんな中、私たちが最初に訪れたジャパニーズ×ジャマイカン vegan レストランのオーナーが夫を雇ってくれた。本当にありがたいことだ。

家探し

家探しは難航した。なにせ私たちはオランダに来たばかりで納税のレコードも収入証明も何もないのだ。更に住宅事情はこの頃も大変でなかなか見つからないのは当たり前のことだった。内覧へ行けばオランダ人がたくさん見学に来ていて太刀打ち出来ない。あまりに不利なので夫は時に「デポジットを多めに支払うから」と掛け合ってみたこともあったが、「そんなことで私たちは住人を決定しない」と逆に嫌がられてしまうこともあった。

結局、おさえていた Airbnb の期間いっぱい(トータル1ヶ月) で家は見つからず、これ以上家族で滞在を続けるとお金がかかりすぎると言うことで私は娘を連れて一時帰国することにした。夫は仕事をしながら Amsterdam の知人のシェアハウスへ移って家探しを続行することとなった。

帰国する前に家族で Rotterdam にある動物園へ行った。当時1歳だった長女はとても喜んでいた。私は内心この先どうなるだろうかと思いながら笑顔ではしゃぐ長女を見守っていた。

帰りの飛行機では私の席1席のみとなってしまい、妊婦なのに1歳の子を膝の上に乗せての11時間フライトだった。これは本当に大変でしかも隣の席の人が子供嫌いのようだった。とても居心地悪くすごして数時間たった頃、ある日本人女性が私に話しかけてくれた。「見ておいてあげるから少し休みなさい」どうやらずっと気にかけてくださっていたようだった。話すと、「私も若い頃あなたのように子供を連れて何度も往復したの。大変よねぇ。今イギリスに住んでいて、もう子供も大きくなったけど、つい思い出しちゃって」…..嬉しくて涙が出た。これからどうなるか分からない不安と、今飛行機の中で1歳の娘とのフライトが大変な事と、海外移住大先輩の優しい言葉と。

苦しい時には不思議とこういう奇跡が起こる。大丈夫だよって空からメッセージをもらっているような出来事が。今でも忘れられない出来事だ。名前も知らないあの人、本当にありがとう。早くもくじけそうになっていた心を勇気づけてもった。

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