新宿に演劇カルチャーが浸透するのか?

東京には演劇(ミュージカルや古典劇・大衆劇も含む)が盛んな街というものがある。街ごとに得意分野の棲み分けがあって、演劇に関してもその棲み分けがある。

都内でメジャー演劇が盛んな街といえば、日比谷有楽町・日本橋銀座あたりが筆頭だろうか。次に渋谷・池袋・上野あたりも大きな箱があり、カルチャーとして根付いているように思う。
雑居ビルや戸建て住宅を使ったマイナー劇となると、山手線ターミナル駅から放射状に延びる鉄道の沿線、代表的なところでは「中央線」沿線など、に散らばっているかもしれない。

問題の新宿。アジア最大級の繁華街で無いものは無いレベルなのに、カルチャーに関しては偏りがあり、演劇やコンサートに関してはメジャーなものをやれる箱は無いに等しい。マイナー劇をやったりできる中小規模の箱はそれなりにあるのだが。メジャー劇はもとより、古典や大衆のカテゴリー的な広がりも無く、街としての演劇カルチャーは乏しい。
昔はコマ劇場があった。コマ劇場がそれなりのカルチャーづくりに貢献していた。しかし今「新宿コマ」は無い。

新宿という街が「サブカル」寄りとなる状況を生み出している要因の一つに、このメジャー演劇カルチャーの欠如があるのではないかと感じている。

新宿の魅力は猥雑やスリリングにある。日比谷有楽町・日本橋銀座の劇場に集まる紳士やマダムな方々が新宿に集まるのは絵的にもちょっと無理がある。新宿の中でも比較的落ち着いたシアターである紀伊國屋ホールでさえ、日比谷有楽町銀座とは客層が異なる。新宿はやはり「中央線」カルチャーなのだ。

そんな状況が少し変わるかもしれない。東急歌舞伎町タワーの誕生だ。新たにできる「シアターMILANO-Za」は、それなりに規模のある箱のようだ。個性のある演劇もやりそうだ。
新宿は新宿である。中央線カルチャーであり、世界有数のナイトスポットである。そういう環境下で、新宿の演劇カルチャーがどう育まれていくのか。新宿らしい演劇カルチャーとはどんなものになるのか。新宿で演劇やミュージカルを観るカルチャーがどんなものになるのか。池袋や渋谷とどう差別化されていくのか。それとも池袋渋谷カルチャーを呑み込んでいってしまうのか。
渋谷ヒカリエにミュージカルを観にくるアラサー女子が歌舞伎町に来るのか。帝国劇場に集まるマダムが歌舞伎町に集うのか。東銀座に通うオジサンが歌舞伎町に通うというのか。新橋に大衆演劇を見に来るおば様が歌舞伎町に来るのか。いやきっとそうじゃなく、新宿らしいあり様が作られていくのではないか、今週末の歌舞伎町タワー開業にあたって、そうあってほしいなと思う。  


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