サバルタンを語ることはできるか——映画『37セカンズ』における可変的身体と「移動」の主題
批評という力『イメージ、それでもなお』という本に、一枚の写真が掲載されている。アウシュヴィッツでガス室送りにされた死体が燃やされているところを、仲間がガス室の扉に隠れて撮った写真である。当然ながらアウシュヴィッツにおいて写真を撮影することは不可能に近く、残った写真には歯磨き粉のチューブに詰められて外に出たものもあるという。映し出されている真っ黒なドアの枠からは、そんな状況においても「真実」を伝えようと奮闘したユダヤ人の置かれた状況の悲惨さ、そして覚悟が伝わってくるように思えて