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開発者もファンも思い入れの強いゲーム『スマッシュ&マジック』【プランナーによる座談会】(前編)

アングーが初めて世に送り出したのは、スマホゲーム『スマッシュ&マジック(以下、スママジ)』。

起業してまもない人材不足の状態から、同じ想いを持つ仲間を増やし、ユーザーを巻き込み、走り続けていきました。

利益が振るわずサービス停止になった今も、スママジのファンとして公言してくれている人がいるという稀有なゲームです。その開発の苦労話や開発のこだわり、今だから言える裏話など、プランナー4人とアングー代表の中川裕史が語りました。

(インタビュー・構成・執筆:栃尾江美、見出し画像デザイン:金子アユミ

『スママジ』に惚れ込んだプランナーたち

中川:アングーを立ち上げる前から、初期メンバーと話し合ってゲームの構想を立てました。そうしたら、僕の出した案が面白そうで現実味も高いということで採用された。基本方針は、キャラクターをボーリングのようにはじいて敵にぶつけて倒すゲーム。ライトなアクション性と、リアクションを重視しています。

最初はメンバーが足りず、できる範囲でやっていくしかありませんでした。UIやエフェクトの専門家もいない。外注に頼むにも限界があります。投資していただいているgumiさんには「できます」と大風呂敷を広げていたので、当時は本当に恐怖で胃が痛い日々でしたが、少しずつ人づてで声をかけ、夢を語り、一緒にやろうと誘っていきました。

高橋:このメンバーの中では僕が最初にアングーに入社しました。もともとデザイナー出身で、現職のプランナーではなく、エフェクターとして誘われたんです。既にアングーで働いていた先輩とご飯を食べに行ったときにスママジのプロトタイプを見せてもらった。スマホゲームなのに、ユーザーの操作がダイレクトに伝わるアクションを作っていたことに驚きました。

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スマホゲームはいわゆる「ハンドスキル」が結果につながるものがあまりない。誰がやっても同じようにうまくいく作りになっているんです。だから、新たなチャレンジにとても興味を持って、誘われるまま入社することにしたんです。

未経験のプランナーを採用

中川:その後、研太郎(高橋)さんが小島さんを紹介してくれた。これまでの経歴はプランナーではないものの、いいプランナーになるはずだと。

高橋:仕事と関係ないゲームを作っていたり、趣味のカードゲーム(『マジック:ザ・ギャザリング』)で遊んでいるときに面白いコンセプトのデッキ(手持ちカードの組み合わせ)を使っていたりと、企画力があると思っていました。

中川:改めて小島さんと会ったときに「X-MEN CHILDREN OF THE ATOM」というゲームが好きだという話になりました。理由を聞いたところ「3Dではない2Dの格闘ゲームでありながら、まるで3Dかのように物体の運動エネルギーを表現している」と言っていた。

僕はそれを聞いて衝撃を受けました。なぜなら、僕は当時、まったく同じ部分に感激していて、周りの開発者とその喜びを共有したくて触れ回っていたんです。ただその良さを共有できるひとはほとんどいませんでした。それを小島さんから言ってもらったことにとても驚きました。

小島:最初は、話を合わせただけなのかなと思ったんです(笑)。でも、スママジのプロトタイプを見て疑いが晴れた。ゲーム内に津波の魔法があるのですが、潮の満ち引きの再現度合いがリアルで、「見ているものが同じなんだ」と、言葉じゃない世界で理解しました。とはいえ、僕はもう40歳になっていたのに、経験のないプランナーという職種でよく採ってくれたなと思いますね。

中川:小島さんはプランナーだと心底思ったんですよ。僕の中で、プランナーとは成長してなるものではなく、持って生まれた資質だと思っています。

経営者が元クリエイターだから開発のキモがわかっている

小島:私が入社後に誘ったのが山口さん。ゲーム作りに対する真摯で純粋な姿勢に信頼を置いていたし、企画の着眼点が面白いなと。

山口:一緒に働いた人の中でも、小島さんは特にすごい人だと思っていたので、その方に誘われたというのは入社を決めた大きな理由のひとつ。さらには、スママジが「遊び」の部分を大事に作られているところに共感を覚えました。ゲームには世界観やキャラクターなどたくさんの重要な要素がありますが、僕はゲームを作るなら、遊びの要素から面白いものを作りたいと思っていた。スママジはキャラクターを指で飛ばして敵にぶつけるという根源的な「楽しい」「気持ちいい」を大事にしていたから、そういうものを一緒に作れるのはとても嬉しかったですね。

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安達:僕はその後、リリースと同時くらいに入社しました。関わっていた『ドラゴンクエストXI』が終わった後に研太郎(高橋)さんに声をかけてもらった。中川さんにお会いして「世界を取りに行く」という考えを聞き、自分の夢と合っていると思いました。

僕が特にいいと思ったのは、調整の大切さをわかっていること。調整とは、ゲームが一通り完成した後に、一からプレイして「気持ちよくない」「行き詰まる」と感じた部分を直していく作業です。完成した後にしっかり調整ができれば、「調整前と全く別物」というくらいよくなる。

中川:ゲームはそれがキモ。ところがそのことを認識している会社は多くありません。経営層は完成したらすぐにリリースしたいので、長い調整期間を取りたくないのです。見た目にはさほど変わらないわけですからね。でも、「すごいブーム」になるかどうかは最後の調整で決まるから、クリエイターにとってはとても大事。

高橋:経営者レベルでわかっている人は本当に少ないと思います。元開発者が経営者になるしかない。

安達:僕がゲームをプレイしている時にも、そういうところが楽しいと感じます。「このボスはあのボスと同じ人が作っている」なんていうのがわかる。ユーザーさんでもわかってくれる方はいます。「気持ちよさ」みたいなものはちゃんと伝わると思います。

後編に続く)

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